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スパークリングワイン全解説。味・産地・人気・オススメ・美味しく飲むコツまで総まとめ!

スパークリングワイン全解説

シュワシュワと立ち上る、きらめくような泡が弾けるたびに、フレッシュな香りが鼻先をくすぐるスパークリングワイン。

シャンパーニュ地方では、シャンパンの注がれたグラスの縁を“真珠の首飾り”と呼ぶそうで、そのラグジュアリーな立ち姿は、お祝い事やイベントにもぴったり。

この年末年始に楽しまれた方も多かったのではないでしょうか? そういう私もお節料理に合わせたのはフランスはロワール地方のスパークリングワイン。

伊達巻とのマリアージュに目を丸くしてしまいました。

ここ数年、日本への輸入量が約1.5倍に増加したという大人気のスパークリングワイン。今回はその魅力に迫ります!

スパークリングワインの味わいの特徴

スパークリングワイン全解説

スパークリングワイン選びのポイントは「産地」と「泡」

スパークリングワインとは発泡性のあるワインのこと。ひとくちに発泡性のあるワインと言っても、辛口から甘口までの風味の違いや泡の強度など、その味わいは非常にバラエティー豊か。

世界中に広がる産地、ぶどう品種の数だけスパークリングワインはあると言っても過言ではありません。

そこがスパークリングワインの最大の魅力にして購入時最大の迷いどころとも言えそうですが、そんな時はスパークリングワインの産地と泡にご注目ください!

シャンパンとは何が違うの?

まずは、スパークリングワインの代名詞とも言えるシャンパンのお話。

発泡性のあるワインをひとまとめにそう呼んでお買い物に来られるお客様はとても多く、それだけシャンパンはダントツの知名度を誇っていますが、そもそもシャンパンの正式名称は「シャンパーニュ」。フランスが定めたAOC(原産地呼称統制)に則ってフランスはシャンパーニュ地方で生まれ、規定を満たしたものだけしか名乗れない名前なのです。

  • フランス、シャンパーニュ地方で生まれたぶどう品種を100%原料にしていること
  • 醸造方法は瓶内二次発酵が含まれたシャンパーニュ製法であること
  • 最低15ヶ月以上の熟成期間を経てから澱引きされること

などなど、厳しい規定の数々をクリアしてこそ生まれるシャンパンですが、この瓶内二次発酵というのがポイント!

シャンパンのきめ細やかな、もっちりとした質感のある泡立ちはこの発酵から生まれるのです。 ここで、その瓶内二次発酵が組み込まれたシャンパーニュ製法(別名トラディショナル方式)の流れを簡単に追ってみることにしましょう。

シャンパーニュ製法(トラディショナル方式)とは?

① 収穫~選果~圧搾

シャンパーニュ地方で収穫されたぶどうを手摘みで収穫し、茎を取り除き、圧搾します。ここで使用するぶどう品種は黒ぶどうと白ぶどうのブレンドが多く、白ぶどうの比率が多いシャンパンは爽やかな酸味が特徴。黒ぶどうの比率が多いものはコクと奥行きのある味わいに仕上がります。

② 一次発酵

酵母によるアルコール発酵で出来上がったのはシャンパンのベースになる白ワイン。赤ぶどうをブレンドしても色素が残らないのは、ていねいな手摘みと素早い圧搾のたまものです。開放されたタンクを使ってのアルコール発酵ですので、発生した炭酸ガスは気化されてしまいます。

③ 調合

ベースになる白ワインの味や状態を見て、秘蔵のリザーヴワインをブレンドし、理想のシャンパン像に近づけます。ブレンド比率などの詳細はトップシークレット。「メゾン」と言われる蔵元の腕の見せ所です。

④ 添加~瓶内二次発酵

調合された白ワインに酵母と砂糖を添加し、その後、瓶詰します。その中で行われるのが、瓶内二次発酵。長い年月を重ねてワインに溶け込んだシャンパンの泡は、クリーミーできめ細やかな極上のくちどけ。シャンパンならではのコクのある奥の深い味わいも、この期間に熟成されたものです。

⑤ 動瓶~澱引き

発酵の終わったシャンパンの入った瓶を特殊な機械に並べ、瓶の口に集まった澱を凍らせた後、炭酸の圧力で外に飛び出させます。近代的ではありませんが、経験と知恵を最大限に活かした伝統的な工程です。

⑥ リキュールの添加

澱と一緒に押し出され目減りしてしまったシャンパンを補うと共に、シャンパン自体の味わいを整えるのが「門出のリキュール」と呼ばれるリキュールの添加。この後、ラベルを貼ってシャンパンの完成です!

シャンパーニュ製法はスパークリングワインの礎。この醸造方法のメリットを活かした新しい醸造方法も誕生し、数々のスパークリングワインは生まれました。

他の醸造方法についてはまた後ほどお話しますね!

スパークリングワインの有名品種とその味わい

ここで、スパークリングワインを造るぶどう品種をいくつかご紹介します。

トラディショナル方式(シャンパーニュ製法)で使われる“有名どころ”を集めてみました。

①シャルドネ

白ワインでも圧倒的な知名度を誇る白ぶどう品種「シャルドネ」は、スパークリングワインも世界中で造られています。

代表的なのはシャンパーニュ地方。こちらでは赤ぶどう品種のピノ・ノワール、ムニエとブレンドされて造るのが一般的ですが、シャルドネだけで醸したすっきりとした味わいのブラン・ド・ブランも有名です。

シャルドネのその素直な持ち味はスパークリングワインでも健在で、生産地や醸造方法によって、キリっとした辛口からまろやかなコクのあるタイプまで変幻自在!焼き立てのクロワッサンのような熟成香を感じやすいのも、シャルドネのニュートラルな魅力ならではです。

②ピノ・ノワール

こちらは赤ワインのクイーン「ピノ・ノワール」。このぶどう品種も“三大ぶどう品種”として君臨するシャンパーニュ地方を中心に、イタリア、ドイツ、チリ、オーストラリアなど、バラエティーに富んだ国々がそれぞれの個性を活かした魅力的なスパークリングワインを披露しています。

スパークリングワインの中でのピノ・ノワールの持ち味は、繊細にして芳醇なボディと華やかな存在感のある果実味。ピノ・ノワールを中心にした赤ぶどうだけで醸すエレガントなスパークリングワインブラン・ド・ノワールも、ぜひ一度お試しを。

③ムニエ

こちらもシャンパーニュ地方を中心に、アメリカはカリフォルニアやオーストラリア、ニュージーランドでも活躍するぶどう品種「ムニエ」。

以前はピノ・ノワールの変異種と見られていたため「ピノ・ムニエ」と呼ばれていましたが、最近になって別の系統であることが判明し、改めて「ムニエ」と呼ばれるようになりました。

フレッシュな果実味を持つムニエはスパークリングワインの名バイプレーヤー。ブレンドすることで他のぶどう品種の個性を引き立たせ、スパークリングワイン自体にやわらかさをプラスします。

数は多くありませんが、ムニエだけを使ったブラン・ド・ノワールは垂涎!

④ピノ・ブラン

ピノ・ノワールが「黒いピノ」なら「白いピノ」はこの「ピノ・ブラン」。ピノ・ノワールの突然変異種として生まれました。

フランスのアルザス地方やドイツなどでも栽培されるぶどう品種ですが、特にご紹介したいのは、現地では「ピノ・ビアンコ」と名前を変えて醸されるイタリアのフランチャコルタ。瓶内2次発酵で造られるこの高品質なスパークリングワインは「フランチャコルタの奇跡」と呼ばれるほど。穏やかな香りと味わいのぶどう品種ですが、その分、造り手の手腕次第で光り輝くポテンシャルを秘めています。

スパークリングワインの有名産地

スパークリングワイン全解説

ドンペリニヨンという名の修道士が、ワインの瓶に偶然コルクで蓋をしたのがシャンパンの始まり。でも、実はそれより1世紀も前に、南仏の修道院でワインから生まれた泡が瓶の中に閉じ込められているのが発見され、それが現代の「メトード・アンセストラル(田舎方式)」という醸造方法に受け継がれています。

ここでは、それぞれの国の生活と共に進化し続けた醸造方法をご紹介しながら、シャンパーニュ地方以外の有名産地にスポットを当ててみましょう。

①シャンパーニュ製法・トラディショナル方式で作られるスパークリングワインの有名産地

クレマン

クレマンはシャンパンと同じ醸造方法で造られたスパークリングワイン

シャルドネやピノ・ノワール、リースリング、ソーヴィニヨン・ブランなど、ブルゴーニュやアルザス、ボルドーなどフランス各地方のぶどう品種で造られ、瓶内2次発酵後の熟成期間は最低9ヶ月。

シャンパンの15ヶ月よりも短いため、泡立ちも軟らかく、熟成香も少なめですが、その分果実由来のみずみずしい香りと味わいを楽しむことができます。

価格帯もシャンパンの半分くらいでしょうか、リーズナブルに本格製法のスパークリングワインを堪能出来るのが魅力です。

フランチャコルタ

前章のピノ・ブランでもお話したフランチャコルタは、イタリア、ロンバルディーア州で生まれたスパークリングワイン。

瓶内熟成は最低18ヶ月と、シャンパンよりも長い期間をかけて熟成されたていねいな造りが自慢です。シャルドネ、ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)、ピノ・ビアンコ(ピノ・ブラン)にエルバマットという土着品種を加えて造られます。

ハイソサエティな土地で手間暇を惜しまず醸された高級スパークリングワインですので、果実味重視の味わいはもちろん、ボトルデザインなどもファッショナブル

ただ、シャンパンのような熟成味は控えめで、贈り物でスパークリングワインを探しに来られたお客様も、フランチャコルタに目を奪われつつ、同じくらいのお値段を出すならシャンパンをと言われる方が多いのがウィークポイントと言えるでしょう。

カヴァ

スペインはバルセロナの近郊、カタルーニャ州で造られることが多い土着のぶどう品種を主体に、シャルドネ、ピノ・ノワールなどをブレンドし、合計9種類のぶどう品種から造られています。

カヴァと言えば、リーズナブルで美味しい!と親しまれている反面、シャンパンと同じように造られているにもかかわらず評価がいまひとつ・・といった残念な印象でしたが、近年、新しく定められた規定により、温暖な気候を活かしたクォリティーの高いカヴァが続々と誕生!これからのカヴァから目が離せません。

②シャルマ方式で作られるスパークリングワインの有名産地

まず、前述のシャンパーニュ製法の流れとは?をベースに、こちらの醸造方法をご紹介。

シャルマ方式は①から③のベースワイン造りまでは同じ工程をたどりますが、④の瓶内二次発酵以降の工程を大きなタンクの中でひとまとめに行うスタイル。工程を短縮する事でコストが少なく抑えられる点、また、二次発酵の期間が短いので、1年に何度も醸造することが出来、大量生産しやすい点が最大のメリットです。奥行きのある風味やデリケートな泡立ちといった点ではトラディショナル方式に軍配が上がりますが、ぶどう由来の果実味を前面に押し出した、元気のよい泡が特徴のスパークリングワインを醸し出します。

アスティ・スプマンテ

イタリアでスパークリングワインをスプマンテと呼びますが、こちらはイタリアワイン屈指の銘醸地ピエモンテ州アスティ郡で造られるスパークリングワイン。

熟成期間の短いシャルマ方式で造られているため残糖度が高く、どなたでも親しみやすい甘口タイプに仕上がります。モスカート・ビアンコというマスカット系のぶどう品種で造られますが、香水に使われる「ムスク」が語源というだけあって、たいへん香り高くジューシー。

プロセッコ

こちらは同じくイタリアのヴェネト州に広がる広大な土地で造られるプロセッコ。シャンパン、カヴァと並ぶ3大スパークリングワインの一角を成し、世界的な販売本数を誇っています。

グレラを先頭にいくつかの土着品種とシャルドネ、ピノ・ノワールなどをブレンド。ほんのりとした甘さが心地良い軽やかなスパークリングワインが造られます。リーズナブルなものが多く、暑い日にみんなでワイワイとのどを潤すフレンドリーさが魅力です。

③トランスファー方式で作られるスパークリングワインの有名産地

こちらもシャンパーニュ製法の流れとは?をご参照ください。 このトランスファー方式は、④の瓶内二次発酵を済ませたスパークリングワインを加圧させた大きなタンクの中に移し、一括して澱引きした後に再び瓶詰するという醸造方法で、工程を短縮させながら伝統のシャンパーニュ製法に近づけるという、こだわりのスタイルです。

難点と言えば、知名度の低さ。今では使用するところも少なくなってきているようです。

ゼクト

世界中で生産されているスパークリングワインの約4分の1を消費するという、スパークリングワイン大国ドイツ

そんなドイツで愛されているのがこのゼクトです。ゼクトには産地と品種の規定がなく、ドイツ国内のどこで造ってもこの名前を名乗る事が出来ますが、銘醸地モーゼルやラインガウなどが主要産地。リースリングが主に使われています。

瓶内二次発酵を行っている事が条件のひとつですので、トラディショナル方式の他、こちらのトランスファー製法も採用されています。

リーズナブルな上に、それぞれの産地で使われる品種ごとの味わいが異なりますので、いろんなゼクトを楽しんでみてくださいね!

他にも、この章の冒頭で触れたメトード・アンセストラル(田舎方式)は、一次発酵の途中で瓶詰めし、ベースワインの中に残った糖分で瓶内発酵を進めるという自然派醸造スタイル。南フランスのラングドック・ルーション地方で「リムーワイン」として受け継がれています。

【シチュエーション別】初心者でも楽しめるおすすめスパークリングワイン

スパークリングワイン全解説

さて、これまでスパークリングワインの成り立ちをいろいろとお話してきましたが、こちらではシチュエーションや用途に合わせて、おすすめスパークリングワインをいくつかご紹介したいと思います。

スパークリングワインを選ばれる際に、ぜひお役立てくださいね♬

宅飲み/デイリーワイン編

カヴァ

スペインのスパークリング、カヴァの主体になっているのは、爽やかな果実味をもたらすマカブー、力強い酸味が特徴のチャレッロ、デリケートな風味のパレリャーダ。

温暖な気候で育った完熟ぶどうをバランスよくブレンドし、トラディショナル製法でていねいに醸した親しみやすい果実味は、お料理にも合わせやすくリーズナブル

例えばハモンセラーノの生ハムやタコ唐をピンチョスにして、スペイン色豊かなペアリング。今夜のディナーのお供にいかがでしょう?

ランブルスコ

こちらはイタリアの食通の街と言われるエミリア・ロマーニャ州で造られる低アルコール、微発泡のスパークリングワイン、ランブルスコ。

たくさんの種類にわかれるランブルスコ種というぶどう品種から造られていますので、赤、白、ロゼと味わいはさまざまですが、人気は赤。

鮮やかなルビーレッドがシュワシュワ弾ける華やかなスパークリングワインは、アメリカでも大人気!です。発酵を進ませ過ぎないように配慮した醸造方法のため、全体的に糖度が残る仕上がりですが、ほんのりとした甘さのやや辛口からしっかり甘口まで幅広く造られています。

味わいのバランスの良いライトボディが主体ですので、食前酒からデザートワインまで、料理によっても表情を変えるしなやかな一本

特別な日用のワイン編

プレステージュ・キュヴェ

“スパークリングの中のスパークリング”と一目置かれるシャンパンですが、その中でも “シャンパンの中のシャンパン”と呼ばれているのがプレステージュ・キュヴェ。

「プレステージ」とは「威信」。それぞれの生産者がプライドと威信をかけて醸し出す採算度外視のシャンパンです。秀逸な作柄の年にしか造られないもの、グランクリュ畑で収穫したぶどうの一番搾り果汁だけをふんだんに使って醸造するもの、通常のシャンパンの何十倍にも及ぶ熟成期間を経て登場するものなど、そのラインナップには目を見張るものがありますが、特別な記念日を、より華やかにグレードアップしてくれることは間違いありません。

アルタランガ

近年注目を集めているイタリア、ピエモンテ州で造られる高級スパークリングワイン、アルタランガ。

10年ほど前に国の定める最上級格付けD.O.C.G.に認定されたばかりですが、スタンダードなものでさえ30ヶ月の瓶内熟成期間を要する限定生産。シャルドネとピノ・ネロ(ピノ・ノワールのイタリア名)を使って醸されます。

急成長中のプレミアム・スパークリングワインですが、お値段設定はたいへん良心的。特別な日を彩るコスパの高い一本です。

ギフト用のワイン編

クレマン

シャンパンを贈り物に選ばれる方は多いですが、クレマンはいかがでしょう?

フランスのいろいろな土地で造られているので、例えば、アルザス地方の「クレマン・ダルザス」ならリースリングや土着ぶどう品種のオーセロワなど、ボルドー地方の「クレマン・ド・ボルドー」ならカベルネ・ソーヴィニヨンやソーヴィニヨン・ブランなど、地方色ゆたかなぶどう品種の美味しさを存分に堪能することが出来ます

バラエティー豊かなラインナップですので、贈られる方のお好みに合わせることも可能。フランスでは、ダンディーな紳士もふんわりロゼがお気に入りです。

ペットナット

あまりお酒が強くない方には、自然派の微発泡スパークリングワイン、ペットナットがおすすめです。

このペットナットはメトード・アンセストラル(田舎方式)。他のスパークリングのような規定はあまりありません。野生酵母を使用し、糖類無添加、ろ過や清澄はほとんどしないという、あくまでもナチュラルでリラックス出来るスパークリングワインです。

低アルコール、微発泡、ほんのり甘口から辛口まで。フランス、ロワール地方発祥と言われていますが、今では世界各国の、さまざまなぶどう品種をチョイスすることが出来ます。ポップなラベルと王冠がひときわ目を引くカジュアルなボトルのペットナット。心躍るプレゼントです。

スパークリングワインとお料理のペアリング

幅広いお料理と相性がいいと言われるスパークリングワイン。その理由のひとつは、やはり泡。

時にはオイリーな料理をさっぱりとリセットし、時にはマリアージュの潤滑油として活躍。そんな泡をまとったスパークリングワインは、まさにペアリングの“万能選手”と言えます。

ここでは和洋中とのペアリングで、その万能ぶりを少しだけご紹介します。

和食とスパークリングワイン

和食と言えば、ていねいに出汁を重ねた旨味が世界的にも注目を集めていますが、今の季節でしたら例えば牡蠣の土手鍋はいかがでしょう?

ミネラルを伴った牡蠣と発酵食品、お味噌の旨味たっぷりの組み合わせは、熟成期間の長いスパークリングワインの身体にしみこむような旨味がぴったり。お味噌の色と合わせて、深みのあるブラン・ド・ノワールがおすすめです。

春が来たら、旬の食材を使った天ぷらが楽しみ。とれたての山菜の季節には、緑のニュアンスが爽やかなソーヴィニヨン・ブランのクレマン・ド・ボルドーを。

えびやイカなどの天ぷらには、リースリングを使ったクレマン・ダルザスのシトラス系フルーツの酸味を薬味代わりに。つい揚げすぎてしまった天ぷらは天丼にして。ピノ・ノワール主体のクレマン・ド・ブルゴーニュのコクが甘辛の醤油だれにマッチします。

中華料理とスパークリングワイン 知り合いの餃子専門店に決まってヴーヴ・クリコを持ち込むツワモノ(?)な友人がいるのですが、中華料理にもスパークリングワインは合うんです。

野菜から魚介類、お肉まで、いろいろな食材を旨味たっぷりに仕上げた八宝菜には、バランスよく果実味をまとったロゼのスパークリングワインがおすすめ。酢豚やエビチリなど、しっかりと味付けされた料理には、ほんのりと甘いランブルスコを。

オーストラリアやニュージーランドで造られた赤ぶどう品種シラーのスパークリングワインも、スパイシーなニュアンスをまとったタレと相性の良いペアリングです。

洋食とスパークリングワイン

チーズとのペアリングはワインの王道ですが、スパークリングワインの場合は、より濃厚なトリプルクリームの白カビチーズがおすすめ。何層にも重ねたチーズのコクが泡と共に広がります。

こんがりと揚げたさくさくコロッケや旨味たっぷりのカニを練りこんだクリームコロッケには、樽熟成が香ばしいシャンパンを合わせて。

ムニエが多めにブレンドされたブラン・ド・ノワールが手に入ったら、マッシュルームの中にいろんな具材を詰めて焼くスタッフド・マッシュルームなんていかがでしょう?マッシュルームの柔らかな、ほっこりとしたお味と、どこか土のようなニュアンスを伴ったムニエのペアリングは、今の季節にもぴったりのぬくもりのある味わい。カリカリに焼き上げたベーコンをアクセントに添えて、召し上がれ。

これを知ってると通!スパークリングワインの豆知識

スパークリングワイン全解説

スパークリングワインを更に美味しく飲むには?

美味しい温度に冷やすコツ

スパークリングワインは抜栓する時まで、なるべく静かに冷やしておきましょう。冷蔵庫のドアポケットに入れてしまいがちですが、ドアを開ける際の振動がスパークリングワインの泡を暴れさせてしまうので、野菜室がおすすめ

3度から5度に温度設定された一般的な冷蔵室だと飲み頃の温度に仕上がるまで2~3時間と言われていますので、4度から8度と高めに設定された野菜室なら4~5時間。これではとても間に合わない!という場合は氷水で。ボトル全体を冷やせれば、30分くらいまで大幅に時間を短縮できます。

グラスはどんな形のものがベスト?

スパークリングワインはフルート型と呼ばれる形のグラスがトレードマークのようになっていますが、もうひとつチューリップ型と呼ばれるグラスもおすすめ

こちらの記事に掲載している画像のうち最初の画像が一番チューリップ型に近いでしょうか、少しだけふっくらとしたタイプです。

後の画像はフルート型。スッとした、まっすぐなフォルムです。 まずフルート型のグラスは、スパークリングワインの華やかな個性をひときわ印象的に演出出来るフォトジェニックさが魅力。開放されている部分も少ないため、フレッシュな泡も長持ち。スパークリングワインの爽やかさを堪能出来るグラスです。

チューリップ型は、ふくらみがある分、フルート型では感じにくい香りや味わいを開かせる事に長けていますので、特に樽熟成されたシャンパンなど、ほどけていくにつれてより美味しくなるようなスパークリングワイン向き。

一方で、小さめのワイングラスで空気に触れさせながらスパークリングワインを楽しむ方も増えてきています。

抜栓から乾杯までの“お作法”とは?

音を立てて抜栓するのは、マナー違反。

私がソムリエをしていた時に苦労したのがココで、握力のない私はスパークリングワインのガス圧が苦手。ポン!と音を立ててしまわないよう、コルクが飛び出すような危険な事態を防ぐよう、毎回ひそかに緊張していました。

静かに抜栓するコツはコルクにクロスをかける事。こうすると、コルクを押さえやすくなります。また、冷やし足りないものは吹きこぼれしやすいので、しっかりと冷やす事も大切

ボトル内の空気を静かに抜いていくようなイメージで、コルクを押さえつけながら、ゆっくりと傾けていくのがポイントです。

無事抜栓した後は、傾けたグラスの側面にスパークリングワインを伝わせるように注ぎましょう。こうすれば溢れてしまう事なく、きれいに注ぐ事が出来ます。だいたいグラスの6分目くらいを目安に、二度に分けて注ぐのがポイント。一度目の泡が落ち着いたら二度目を継ぎ足すと、うまくいきますよ。

そして、いよいよ乾杯の時間です。乾杯は音を立ててグラスを合わせるのではなく、目の高さほどにグラスを持ち上げるのがスマート。私の周りでは「サンテ♬」と言いながら乾杯するのが定番でした。santéサンテとはフランス語で「健康」の意味。「みんなの健康を祝して乾杯!」と言った感じでしょうか、スパークリングワインを更に美味しくする“おまじない”ですので、みなさんもどうぞお試しを。

誰かに話したくなるスパークリングワインのあれこれ

エルダーフラワーとスパークリングワインのペアリング

夏が始まる頃、ヨーロッパの田園地帯に咲くエルダーフラワー。青りんごのようなフラワリーなアロマとカスミソウよりも小さい花々を集めた可憐な容姿は、誰からも愛されています。

民間療法でも“インフルエンザの特効薬”と言われ、レモン果汁などと一緒にシロップに漬け込んだコーディアルも有名ですが、そのコーディアルとスパークリングワインのカクテルがとても美味

コーディアル1に対してスパークリングワイン3、ソーダ水1をブレンドするだけの手軽さですので、乾燥した冬の乾いたのどにもぴったり。さっそくお試しくださいね。

蜂蜜入りスパークリングワイン

先にお話したシャンパーニュ製法のリキュールの添加をフランス語でDosageドサージュと言いますが、この“門出のリキュール”のレシピはあまり知られておらず、ショ糖やテンサイ糖をブレンドしたものや濃縮ぶどう果汁を使うところなど、これもまた、それぞれのメゾンの腕の見せ所と言えます。

蜂蜜をそのままドサージュするレアなスパークリングワインもあるそうですが、蜂蜜酒と言えば、ミードと呼ばれる蜂蜜と水を発酵させて造る世界最古のお酒が有名。

そのミードを炭酸水も交えて発酵させた発泡蜂蜜酒が最近日本でもお目見えしました。 100%純粋蜂蜜を使ったスパークリングミードは、低アルコール、低カロリー、添加物ゼロというやさしいスパークリング。健康に気を遣う方にぜひおすすめしたい一本です。

大手メゾンがシャンパーニュを離れて造るスパークリングワイン

シャンパーニュの名だたるメゾンがシャンパーニュ以外の土地で造る、スパークリングワインが人気です!

例えば、「ルイ・ロデレール」がカリフォルニアで醸す「カルテット・アンダーソン・ヴァレー」や「ポメリー」の「ルイ・ポメリー カリフォルニア」「ルイ・ポメリー イングランド」。

モエ・エ・シャンドンがオーストラリアとカリフォルニアに進出した「シャンドン」など、シャンパーニュで培った経験と実績を活かして造るスパークリングワインは、シャンパンにも引けを取らないくらい魅力的!

舞台は変わっても、その味わいは折り紙付きです。シャンパンと比べると親しみやすい価格設定ですので、新境地で羽を広げた大手メゾンの横顔をぜひ一度味わってみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

スパークリングワインの魅力をさまざまな角度からご紹介してきましたが、参考になりましたでしょうか?

幼い頃、クリスマスになると楽しみにしていたあの飲み物も、今思えばスパークリングワイン風・・・なんて懐かしく思い出しながら、今も昔も、ちょっと特別な心躍る飲み物、スパークリングワインをより身近に感じていただけたら幸せです。

Yuko Imai

日本ソムリエ協会認定J.S.Aワインアドバイザー兼日本酒サービス研究会認定唎酒師。ボーダレスなお酒の楽しみ方を見つけると心躍る毎日。冒険の旅の行く先をいつも探しています。