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赤ワイン全解説。味・産地・人気・オススメ・美味しく飲むコツまで総まとめ!

赤ワイン総まとめ

ワインは選ぶのが本当に難しいアイテムである中、特に赤ワインは好みが分かれやすいので、とても悩んでしまいますよね。

こちらの記事では、「そもそも赤ワインって何だろう?」という疑問から、赤ワインを飲む時にちょっと楽しくなるような豆知識まで、赤ワインの全貌をわかりやすくご紹介いたします!

赤ワインの味わいの特徴 :白ワインとは何が違うの?

赤ワイン総まとめ

ワインはその造り方で様々なタイプに分けられますが、その違いのすべては原料となるブドウの色から始まります。

一般的には、皮の色が緑や黄色などの白ブドウから白ワインが、皮の色が濃い紫色などの黒ブドウから赤ワインが造られます。 さらに、そのブドウをワインに仕立てるための工程の序盤も、ワインタイプを決める大きなカギとなります。白ワインは、ブドウをぎゅっと絞って出てきた透明な果汁のみを発酵させて、ワインを造ります。

一方赤ワインは、まずブドウを粒のまま発酵させ、皮の成分がたっぷり溶け出した状態で果汁を絞ります。こうして、白ワインにはない特徴である、黒ブドウの皮に含まれる赤紫色の色素や、渋みの成分を備えた赤ワインが造り出されるのです。

赤ワインの有名品種とその味わい

赤ワイン総まとめ

さて、そんな赤ワインを生み出すために必要な黒ブドウにも、様々な種類があります。皮が薄く淡い色味で渋みも軽めのものから、分厚い皮から濃い色と渋みがたっぷりとワインに抽出されるものまで、想像以上にその幅は広いものです。

ぜひお試しいただきたい代表的な品種をいくつかご紹介しますので、お好みに合いそうなものを探してみてください。

赤ワインの有名品種①ピノ・ノワール

赤ワインの女王とも呼ばれる黒ブドウ。

世界各国で栽培されていますが、フランスが主な産地です。皮がとても薄く、淡い色合いと渋みの軽い赤ワインに仕立てられます。

シルクのようになめらかな口当たりと程よい酸味が、まさしく心優しい女王様のように優美で上品な味わいです。

赤ワインの有名品種②サンジョヴェーゼ

イタリアの赤ワインを代表する品種。

ピノ・ノワールと同様に、色調は淡く軽めの渋みをもつワインが造られていますが、比較的サンジョヴェーゼの方がより酸味がしっかりとあり、いきいきとした明るいイメージの味わいです。

香りも、チェリーやイチゴなどキュートな印象なので、酸味が苦手でなければ親しみやすい品種です。

赤ワインの有名品種③カベルネ・ソーヴィニョン

こちらは赤ワインの王様と呼び声高いブドウ。

こちらもフランスを主に世界各国で広く栽培されています。造られるワインは王の名にふさわしく、濃厚な色合いで、がっしりと力強い果実味と渋みが特徴。また酸味も比較的しっかりとあるので、渋み成分の多さと相まって、長期の熟成に耐えることが出来るため、偉大と称賛される銘酒も多く存在します。

お手頃なデイリーワインでも、王の風格を感じられるようなパワフルな味わいを楽しめます。 メルロ こちらもフランスで多く栽培され、世界中で広く愛されている品種。濃厚な味わいながら、渋みや酸味は比較的まろやかです。

カシスやダークチェリーのような、濃密な果実味としなやかな口当たりが相まって妖艶な印象。このしなやかさをプラスして味わいのバランスをとるため、フランスではカベルネ・ソーヴィニヨンにブレンドされることが主流な地域もあります。初めて濃いめの赤ワインを試すなら、まずはこちらの品種単体で造られたワインがおすすめです。

赤ワインの有名品種④テンプラニーリョ

スペインを代表する赤ワインの品種。

フルーティーで飲みやすいものもありますが、基本的には力強い味わいの赤ワインに仕立てられます。カベルネ・ソーヴィニヨンにも似ていますが、こちらの方が果実味豊かで、シナモンなどのほのかに甘いスパイスの香りが最大の魅力

この風味がポイントで、かつてワインショップで勤務していたころ、濃厚な赤ワインがお好きな女性から特に大きく支持を得ていた品種です。実際、当時メルロにはまっていた私も母も、テンプラニーリョに出会いこの香りに心を奪われてしまいました。

赤ワインの有名品種⑤プリミティーヴォ(ジンファンデル)

イタリアではプリミティーヴォ、アメリカではジンファンデルと呼ばれるこちらの品種。

メルロの様に濃厚な果実の味わいで、渋みが突出することなくまろやかな口当たりですが、最大の特徴は甘い風味。甘口のワインではないのですが、完熟したダークチェリーやジャムのような味わいがあり、一口飲めば「こんな赤ワインもあるのか」ときっと驚き、とりこになること間違いなしです。

ワイン初心者のお客様が何人も、この難しい名前を断片的に何とか覚えてショップに探しに来られていたことが、強く印象に残っています。

赤ワインの有名産地

赤ワイン総まとめ

上記の品種と併せて、メジャーな産地もいくつか抑えておきたいところです。

こちらでは、私が特に美味しい赤ワインが多いと感じる、おすすめの有名産地をご紹介しますね。

赤ワインの有名産地①フランス

言わずと知れたワイン大国。

ボルドー地方では、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロを主に使用した濃厚で力強いワインを、ブルゴーニュ地方では、ピノ・ノワールで繊細な赤ワインが造られており、二大巨頭の産地となっています。

ただ、素晴らしいワインが数多く生み出されている反面、これらの地域ではちょっと高価なワインが多め。

そこでおすすめなのが、南部にあるラングドッグ・ルーション地方

お手頃な価格ながら、有名品種の個性とフランスならではの上品な風味を堪能できる、ハイコスパなワインが多く造られています。デイリーワインや品種のお試しにぴったりな産地です。

赤ワインの有名産地②イタリア

美食の国であり、ワインの生産量が随一のイタリア。

品種のお話でも登場した、サンジョヴェーゼやプリミティーヴォを始めとした、この国ならではのバラエティーに溢れた品種を用いて、個性溢れる赤ワインが沢山生み出されています

全体的に上品ながらも比較的親しみやすさがある印象で、どの品種も食事との相性は素晴らしいものです。少しワインを飲み慣れてある程度好みが固まって来たら、イタリア固有の知らない品種に挑戦してみるのも楽しいですよ。

赤ワインの有名産地③スペイン

こちらも赤ワインが特におすすめな有名産地。

その中でも特に、テンプラニーリョが圧倒的に国内の黒ブドウ生栽培量1位を占めています。このテンプラニーリョの他にも、情熱の国の空気を思わせるスパイスの風味と、豊かな果実味が飲み手の食欲をかき立てるような赤ワインが特徴

一方でグルナッシュという品種は、イチゴのような香りがとてもチャーミングで、赤ワインの中でも飲みやすさは抜群。ぜひイベリコ豚の生ハムと陽気なバルのようなワインタイムを楽しんでみてください。

赤ワインの有名産地④アメリカ

ヨーロッパからワイン造りが持ち込まれて以降深くその文化が根付き、今や世界のワイン産地を代表する国の一つで、特にカリフォルニア州のワインが人気です。

有名な品種は一通り栽培されていますが、特にカベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワールは必見です!太陽をたっぷりと浴びて育ったカリフォルニア州のブドウは、甘口でなくとも甘く感じるほどに果実味が豊か。

品種のお話でご紹介したジンファンデルのように、カベルネ・ソーヴィニヨンは他の国のものに比べると、その良く熟した果実味がパワフルな骨格を成す渋みと見事に溶け合っています。

また、北部で栽培されているピノ・ノワールも同じく甘やかな果実の旨味が強いため、他の産地よりも比較的穏やかな酸味と相まって、至福の飲み心地を生み出しています。

赤ワインの有名産地⑤チリ

今や日本のデイリーワインの定番産地となったチリ。

かつては「安い普段飲みのワイン」というイメージがありましたが、実は驚くほどクオリティが上がっており、現在ではフランスの偉大なワインにも引けを取らない程のプレミアムワインがいくつも造られているのです。

そんなハイクオリティなワインでも、手の届きやすい価格は健在。特にカベルネ・ソーヴィニヨンや、チリならではの品種、カルメネールといった濃厚な赤ワインの人気が高い印象です。

カリフォルニアの様に豊かな果実味を持ちながら、スパイスのような風味が深みを増す、濃いワインがお好きな方は見逃せない産地です。

赤ワインの有名産地⑥オーストラリア

品種の話では触れませんでしたが、こちらはシラーズという品種が特に有名な産地。カシスのような深みのある果実の味わいが魅力ですが、その最大の特徴は黒コショウの香り。「ワインにコショウ?辛いの?」と思われるかもしれませんが、もちろん辛みはなく、しかし香りの中にしっかりと黒コショウのニュアンスが存在するのです。

初めは少し驚きますが、少し赤ワインを飲み慣れてくると、この香りが良いアクセントとなり、食欲を誘うのです。料理はワインに寄せて塩コショウでシンプルに焼いた赤身のステーキが最高に合いますよ。

初心者でも楽しめるおすすめ赤ワイン4選

赤ワイン総まとめ

さて、ぜひ抑えておきたい赤ワイン品種とその産地を一気にご紹介して参りましたが、気になるものはありましたか?ついたくさん挙げてしまったので、こちらではシーン別に、おすすめの品種と産地の組み合わせをまとめてみました。

宅飲み/デイリーワイン編

サンジョヴェーゼ×イタリア

イタリアのトスカーナ地方では特に、サンジョヴェーゼのワインが食事のお供として楽しまれています。軽めの渋みとフルーティーな味わいが料理にそっと寄り添い、爽やかな酸味が脂っこさを綺麗に流してくれるのです。

テーブルに1本あると、食卓全体を華やげるワインですよ。

カベルネ・ソーヴィニヨン×チリ

産地のお話にもあったとおり、お手頃ながらハイクオリティなワインを楽しめるので、日常のシーンで強い味方。気軽に豊かなワインライフを味わえます。

特別な日用のワイン編

ピノ・ノワール×フランス

その上品かつ華やかな佇まいは、他に勝るものはないと言っても過言ではありません。繊細な口当たりと優美に香り立つ芳醇なアロマが、飲み手の特別なシーンに花を添える特別感を演出します。

ギフト用のワイン編

カベルネ・ソーヴィニヨン×アメリカ

フランスのカベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールも素敵ですが、思い返せば私がよくギフトに選び、お相手に喜んでいただいたのはこちらでした。

パワフルでハッとするような濃厚な味わいながら、渋みも酸味も突出していないため、インパクトを与えながらも飲み心地の良いワインであることが、飲み慣れた方にもそうでない方にも大変喜ばれた理由だと考えています。

赤ワインと料理のペアリング

赤ワイン総まとめ

ここまで赤ワインの品種や産地ごとの味わいについてお話して参りましたが、実際にワインの栓を開ける際は、おつまみやしっかりとした食事など、何かしらの料理と一緒に召し上がることが多いかと思います。

「マリアージュ」や「ペアリング」というと、なんだか難しそうな響きですが、ちょっとしたコツを掴めば、簡単に相性の良い組み合わせを楽しめるのです。ワインも料理も互いに引き立て合い、さらに美味しさが増す瞬間は、まるでちょっとした魔法にかかったような感動を味わえますよ。

① 料理の色を合わせる

こちらは、ワインの色と食べ物の色味をおおまかに合わせるということです。例えば赤ワインには、牛肉のステーキや鴨肉のローストなどの肉料理や、タレでいただく芳ばしい焼き鳥、ビーフシチューといった赤褐色系のお料理がとても良く合います。

このようにざっくりと色味を合わせることで、ワインと料理が互いに引き立て合う組み合わせが実現します。これは簡単ながらかなり有効で、私はソムリエになった今でも、迷ったらとりあえず色だけは合わせています。

② 重さのボリュームを合わせる

ワインの「重さ」とは、外見の色味や口に入れた時の「濃さ」や「渋みの強さ」のことです。よく「ボディ」とも呼ばれ、重めの味わいはフルボディ、軽めはライトボディとされます。

例えば、淡い色合いで渋みの少ないピノ・ノワールやサンジョヴェーゼは、軽めなのでライトボディの赤ワインです。このようなワインには、①で挙げた中では鴨肉や焼き鳥など、脂身が少なく味の濃すぎない料理と合わせるのがおすすめ(焼き鳥のタレは一見濃いようですが、ソースほどドロッと濃厚ではないので大丈夫です)。ワインの繊細な風味を活かしながら、料理もバランス良く引き立ててくれます。

一方、深い色合いで果実味も渋みも力強いカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどは、がっつりとしたステーキやビーフシチューとの相性が最高です。料理の素材自体の旨味が強いので、これくらい果実の旨味がぎゅっと凝縮したワインが上手く寄り添ってくれますよ。

③ 産地を合わせる

これらを踏まえた上で、更に精度の高いペアリングを楽しむ方法として、同じ産地で合わせるというポイントがあります。

ソムリエ教本などでも、産地ごとに郷土料理について記載されているほど、ワインは同じ産地で生まれた料理と合わせると、間違いなくペアリングが成功すると言われています。

例えば、フランスの赤ワインには鴨肉料理。フレンチで見かけることの多い鴨肉は、実際にフランス国内でも日常的に食べられているそうです。特に、スーパーなどで手に入る合鴨ロースなど、シンプルな味付けで調理されているものには、軽めの赤ワイン、ピノ・ノワールがとてもよく合います。

また、アメリカや南米が発祥と言われているBBQなどの豪快な肉料理には、アメリカやチリのカベルネ・ソーヴィニヨンが相性抜群です。 もちろん、このペアリング方法は産地をピッタリと細かく合わせることで、素晴らしく精密なペアリングが出来ることもあるのですが、あまり気にし過ぎず、おおまかに国同士やヨーロッパ、アメリカ大陸などの近い地域で組み合わせを考えるのがおすすめです。

ほとんど地球の裏側であるチリやアルゼンチンの赤ワインと、和食が合うこともあるのですから。難しく考えずに、あくまでも迷った時の参考として気軽にペアリングを楽しむのが一番ですよ。

これを知ってると通!赤ワインの豆知識

ここまでのお話で、かなりワインのことが分かってきたのではないでしょうか?きっと、お店でご自身が求めている味わいの赤ワインをご自分で選べるようになっているかもしれませんね。

せっかくなので、もう少し赤ワインのお話をいたしましょう。これを知っていると、赤ワインをより美味しくもっと楽しめますよ

赤ワインが体に良いって本当?

かつて、日本では赤ワインのとある成分について、健康ブームが起きていた時期がありました。

あまり得意ではないのに、健康に良いからと赤ワインをちょっと無理して召し上がる方が、今でも時々いらっしゃるほどです。そこまで人々を魅了する成分の正体は、ポリフェノール。

よく耳にする名前ですが、実際どんな効果があるのか、ご存知でしょうか。

ポリフェノールとは、簡単に言えばフェノール類と呼ばれる仲間の小さな分子がたくさん集まったものの、ざっくりとした総称。なので、ポリフェノールにもいろいろな種類があるのですが、いずれも抗酸化作用があることが最大の魅力です。

そしてある時、このような発表が世間を騒がせました。赤ワインを常飲するフランスの方々が、脂っこい食事を多く摂るにもかかわらず健康でいるのは、ポリフェノールの抗酸化作用のおかげだ、という研究が検証されたのです。

これは「フレンチパラドックス」と呼ばれ、赤ワイン健康ブーム大流行の火付け役となりました。しかし、これはいまだに議論がなされており少なくとも「アルコールの分解力が弱い日本人にも同様のことが言えるのか」と疑問視されています。

さらに最近では、ピノ・ノワールには若返り成分という異名が付けられている、注目のポリフェノールの一種が含まれていると一部で話題になりました。しかし、ワインでその力を得ようとすると、ヒトの体の中で効果を発揮するためには、とんでもない量のワインを飲まなければならないと言われています。

なので、体への効果はあまり気にし過ぎず、赤ワインがお好きならば「ちょっといい効果もあったら嬉しいな」くらいの心持ちでワインを楽しむのが私は一番良いと思っています。

赤ワインの味わいを語る上でかかせない「タンニン」って結局何?

このタンニンも、先ほどお話ししたポリフェノールの一種です。このタンニン自体は濃い茶色で、口に含むと渋みとして認知されます。

小さな小さな分子の塊なのですが、赤ワインの口当たりや味わいのボディ(重さ)、色、熟成状態などを左右する重要な要素なのです。 そんなタンニンはワインの味わいの面で、渋みの強さや口当たりについて表現する時に、よく使われるワードです。

例えば、「タンニンが強くどっしりとした骨格がある」、「軽やかなタンニンでさらさらとした口当たり」など。単に渋みの強さだけでなく、タンニンが関わる口当たりなども含めた、ワインならではの絶妙かつ便利な表現です。

赤ワインを更に美味しく飲むには?

お店で見つけた美味しそうな赤ワイン。お家に帰っていざ開けてみると、なんだか思っていた味わいと違う…という経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、ワインにはそれぞれのタイプごとに適切な温度があります。よく「赤ワインは常温で」と言われますが、これは実は鵜呑みにしてはいけないのです。ここで言われる常温とは、日本よりもやや気温の低いワイン産地での常温。つまり、いつものお家の中よりも数度低い温度のことを指しているのです。

実際に、赤ワインの適温とされる温度帯は、軽めのライトボディで16-18℃、重めのフルボディで18-20℃

一方で、日本で言う常温は、一般的には15-30℃程度までと言われていますが、年間を通して20-25℃程度が主ではないでしょうか。このように、「いつもの常温」では、赤ワインの魅力を十分に引き出すことが出来ていない可能性があります。

しかし「温度くらいそんなに気にしなくても大丈夫でしょ?」というお声をよく聞きますし、私自身もかつてはそう思っておりました。ところが、この温度がワインの味わいを予想以上に大きく左右するのです。

ある時私は、同じ赤ワインを同じグラスで用意し適切な温度といつもの常温で飲み比べてみたところ、衝撃が走りました。適切な温度で飲んだ赤ワインは、果実の香りや花のかすかなアロマがすっと綺麗に立ち上り、酸味とタンニンが上手く手を組んで絶妙なバランスを取って、するすると口の中を通って行くのです。

一方、常温の方は香りがなんだかぼやっとグラスの中で溜まるように下の方で広がっており、口に含んでも妙に酸味が気になって今一つな味わいでした。まさしく子供の頃にぬるいジュースを飲んだ時の残念感と似た感覚でした。

ではどうすれば、常温よりもちょっと低いくらいの温度に調節出来るのでしょうか。

ワインセラーが無くても、簡単です。ご家庭の冷蔵庫に、夏場であれば1-2時間、冬場であれば30分から1時間程度入れて置くだけで、ちょうど良い温度帯になるのです。

また、夏場に軽めのワインを飲むなら、白ワインと同様にしっかりと冷やしたり、氷を入れても美味しく召し上がれますよ。

赤ワインを飲む時にグラスをくるくる回すのはなぜ?

もう一つ、赤ワインを美味しく飲むコツがあります。カッコいい赤ワインの飲み方と言えば、くるくるとグラスを回すしぐさがありますよね。実はあれにも、理由があるのです。

ワインはボトルを開けた瞬間からでも美味しく召し上がれますが、適切な温度にしていても、実のところはまだまだ100%の実力は発揮されていないのです。ワインの最も大きな魅力と言っても過言ではない香りは、酸素に触れることで、よりしっかりと感じられるようになります。

まだ抜栓したてなどで十分に香りが立っていない状態を、ワインの世界では「閉じている」と表現します。しかし、十分酸素に触れるとワインが持つ全ての香りがグラスから解き放たれ、いわば「開いている」状態になります。

香りが閉じた状態では感じられなかった、花やスパイスなどの様々なアロマが顔を出し、果実の香りもダイレクトに感じられるようになり、その変貌ぶりに感動することもしばしば。

ワインのグラスをくるくると回すのは、空気に触れるワインの表面積を増やし、短時間でも十分な酸素をワインに含ませるためなのです。ちなみに、同じことをボトル単位でしっかりと行うのが「デキャンタージュ」です。

ソムリエが、まだ香りが閉じていると判断したワインを、デキャンタと呼ばれる大きなガラスの器にボトルから移し替え、ゆっくりと回して香りを開かせてから、お客様のグラスに注ぐのです。よって、ワインを飲む時にグラスをくるくると回すのは、このデキャンタージュの簡易版とも言えますね。

このようにちょっとしたコツでワインは本領を発揮し、十分にその味わいを堪能していただくことが出来るのです。ぜひ一度、お試しください。

まとめ

今回は赤ワインについて、そもそもどんな味わいなのかというお話から、抑えておきたい有名な品種や産地、料理との合わせ方、もっとワインを楽しめる豆知識まで、これから赤ワインを楽しみたいと考えている方に伝えたいポイントを、全部ぎゅーっと詰めてみました。

かなり長い文章でお疲れになったかと思いますが、ここで画面からちょっと目を離して一休み。

そして、ここまで読んできた中でちょっと気になった赤ワインを探してみましょう。お手元に届いて召し上がる時には、コツを実践しながらゆったりと楽しんでみてくださいね。

Saeko

日本ソムリエ協会認定ソムリエ。大学で醸造学を学び、家族もお酒好きであったことから酒類に深く興味を持つ。卒業後はワインのインポーターで店舗での販売やオンラインショップの企画制作に携わる。現在はフリーでライターとして活動中。