私が初めてきちんとイタリアワインを楽しんだのは、リストランテでした。それまでも飲んではいたのですが、ペアリングされたお料理と一緒に“きちんと”味わったのは初めてで、その今までのカジュアルなイメージを覆すような味わいは衝撃的!
たちまちファンになりました。上品なのに華やかで、料理に寄り添うように奥ゆかしいのに自由。思い出のラベルは今でも大事にとってあります。 食事と一緒でこそ本領を発揮すると言われるイタリアワインは、決して料理の脇役などではなく、今や生産量NO.1のワイン大国へと飛躍させた立役者。
今回は、その舞台裏などにも触れながら、イタリアワインの美味しさについてお話していきたいと思います。きっと、あなたもファンになりますよ♬
イタリアワインの特徴
「エノートリア」ワインの大地、イタリアワインの多様性
ワインの大地「エノートリア」と呼ばれるイタリア。海風や暖かい偏西風からもたらされる温暖な気候である一方、スイス国境の寒暖差などもあり、地域によって気候が変わる中で造られるワインは非常にバラエティー豊か。
恵まれた大地で培われたぶどう栽培の歴史はフランスよりも古く、2000以上もあると言われる個性の違った土着の葡萄品種を使って、20州に渡るすべての州でワインが造られています。しかも、それぞれの州が個別の自治体を持っていた歴史的背景などもあり、近隣の土地のものさえわかりづらいほど、そのワインは多種多様を極めています。
イタリアらしさを守ること
そこで、国はその膨大な数のワインを一定の条件の下、ワイン法で管理し、それぞれの土地の個性を差別化し、品質を保証しました。
ワインのラベルやキャップシールに記載されていますので、簡単にご説明すると、
- 土地の名前が見つかったら、その土地で生産されたワインという証
- 土地表記の近くに
- Denominazione di Origine Controllata e Garantita 略称DOCG 統制保証原産地呼称ワイン
- Denominazione di Origine Controllata 略称DOC 統制原産地呼称ワイン
- Indicazione Geografica Tipica 略称 IGT 地理表示保護ワイン
- Vino da Tavolaテーブルワイン
という表記を見つけたらイタリアワインのランク付け。①が最高位になります。
EU法が制定され2009年になると表記方法が変わり、
- Denominazione di Origine Protetta 略称 DOP 保護原産地呼称ワイン 上記の①と②が合体
- Indicazione Geografia Protetta 略称 IGP 地理特性表示ワイン 上記の③
- Vino テーブルワイン 上記の④ と簡略化。
現時点では、ワインによって旧表記と新表記が混在しています。 アルファベットの羅列を見ただけで拒否反応を起こしてしまう方も多いと思いますが、頭文字をいくつか覚えるだけで十分です!
ワイン選びの目安となりますので、記憶の片隅にでも置いておいてくださいね。
イタリアワインは安い?なぜ?
世界の2トップ、フランスワインとはどう違うの?
イギリスワインと比べられる事が多いのがフランスワイン。イタリアワインに生産量トップの座を明け渡した今でも、他国への献上品など国を背負って発展し続けてきたフランスワインの風格は現代に引き継がれています。と同時に聞こえてくるのは、贅沢品としてのお値段の高さ。ワインアドバイザーとしてショップに立っていても、フランスワインに代わるワインを探しに来られるお客様が確実に多くなっているのは否めません。
一方、イタリアワインと言えば、もっぱら庶民の味方として活躍してきました。食事という日常生活になくてはならないものの中で、不動の地位を確立していきます。 今でもその85%がデイリーワインというイタリアですから、全体的な印象はたいへんリーズナブル。
水よりも安いワインがひしめきあい、中には質の良くないものも現れるという中で、前の章でお話ししたようなワイン法が制定されていったのですが、型にはまらない自由とこだわりの国イタリアならではのさまざまな出来事が起こり・・・それはまた後ほどお話しますね。
イタリアワインの有名産地
さて、ここからは、他の国ではなかなか類を見ないバランスの良いラインナップが自慢のイタリアワインを具体的にご紹介していきたいと思います。
まずは前の章でお話したDOCGにランクインしているワインを中心に、イタリアワインの有名産地をご案内します。
イタリアワインの有名産地①ピエモンテ州
スイスとフランスの国境にあるピエモンテ州。ピエとはイタリア語で「ふもと」、モンテは「山」。文字通り、山々のふもとにある地域で、その一日の激しい寒暖差がぶどうの凝縮度を高め、深い味わいを生み出すイタリアワインきっての銘醸地です。
造られるワインもバラエティー豊かで、イタリアワインの王バローロやイタリアワインの女王バルバレスコを筆頭に、マスカット系のぶどうを使ったほんのりとした甘みが人気のアスティ・スプマンテ、さっぱりとした果実味が親しみやすい白ワイン、ガヴィなど、DOCGの数でもピエモンテ州の右に出るものはいません。
イタリアワインの有名産地②ロンバルディーア州
生産量こそそんなに多くはありませんが、古代ローマ時代から高品質のワインを醸し続ける伝統のワイン産地ロンバルディーア州。
有名なDOCGはフランチャコルタ。フランスのシャンパーニュ地方と同じトラディショナル方式で造られた高級スパークリングワインですが、規定で定められた熟成期間はシャンパンよりも長い本格派!斬新なボトルデザインも多く、イタリアならではのこだわりに満ちた一本です。
イタリアワインの有名産地③エミリア・ロマーニャ州
食通の街と言われるエミリア・ロマーニャ州で有名なのは低アルコール、微発泡のスパークリングワイン、ランブルスコ。
赤、白、ロゼとさまざまなワインが造られていますが、人気は赤。輝くようなまぶしい色合いとほんのり甘い果実味は女性にも大人気!パルマ産の生ハムやパルミジャーノ・レッジャーノなど、エミリア・ロマーニャ州で作られる美味しさと肩を並べるグルメの街ならではのスパークリングワインです。
イタリアワインの有名産地④トスカーナ州
ピエモンテ州と並ぶイタリアワインの2トップ、トスカーナ州。芸術の都フィレンツェを囲む丘陵地帯でイタリア三大ワインのひとつブルネッロ・ディ・モンタルチーノを始め、かつてイタリアンブームを巻き起こしたキャンティやキャンティ・クラシコなど有名な赤ワインのDOCGが数多く存在しています。
主要のぶどう品種はサンジョベーゼ。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなど国際ぶどう品種も栽培されていますが、土着品種にこだわってきたイタリアワインにとって、この国際品種がひとつのターニングポイント。地元の個性を愛する生産者と我が道を行く新しい生産者の間で、さまざまな試行錯誤が行われていきます。
イタリアワインでよく見るブドウ品種と味わい
続いては、イタリアワインの主要品種を赤ぶどう、白ぶどうに分けてご案内します。数に限りがあるのが惜しい位の選りすぐりです。
イタリアワインの赤ぶどう品種①サンジョベーゼ
イタリアで圧倒的な栽培量を誇る赤ぶどう品種と言えば、サンジョベーゼ。突然変異しやすいことからクローン種も多く、トスカーナ州を筆頭に幅広い産地で栽培されています。醸造方法によって、さまざまな表情を見せる奥の深さが、消費者のみならず生産者の心を掴んで離しません。
苺やザクロなどの赤系果実に、ほんのりと甘いスパイスの香り。ドライな酸味をまとった凝縮度の高いボディ。サンジョベーゼを前にすると、なんとなくお腹が空いてしまうのは、イタリア料理を思い出してしまうからでしょうか。それだけこの国の食生活と共に発展してきた、ぶどう品種だと言えます。
イタリアワインの赤ぶどう品種②ネッビオーロ
イタリア三大ワインのふたつを占めるバローロ、バルバレスコを醸し出すぶどう品種のトップスター、ネッビオーロ。
晩熟型で病気になりやすく、原産地と言われるピエモンテ州でさえ栽培に困難を極める品種です。その上、バローロ、バルバレスコ級になるまでには数々の厳しい義務が課せられ、ただただ造り手の情熱こそが世界中を魅了するワインを造り出しています。
落ち着きのある淡い色合いの第一印象を覆すような豊かな酸とパワフルなタンニンが飲み頃を迎えるまでには長い期間を必要としますが、品種由来の個性を活かしたワインは比較的早くから楽しむことが出来ます。
その薔薇の花束のような香り高さとしっかりとした果実味は、たいへん魅力的。
イタリアワインの赤ぶどう品種③アリアニコ
南イタリアを代表するDOCG赤ワイン、タウラージを醸し出すのは、カンパーニュ州のアリアニコ。晩熟のぶどう品種で、しっかりとした酸味とパワフルな果実味を樽で熟成させるタイプのワインを得意としています。
アルコール度数も高めで、ゆったりとしたボディは果実を煮詰めたようなビターな凝縮感に満ちていますが、すっきりとしたバランスの良さがどこかエレガント。いただく時は空気に触れさせながらゆっくりと。ショップに時折立ち寄られるダンディーな紳士は、シガーをくゆらせながらタウラージを楽しむのが大好きとおっしゃっていましたっけ。
イタリアワインの白ぶどう品種①モスカート・ビアンコ
ピエモンテ州で栽培されるぶどう品種モスカートは、日本でもおなじみのあのマスカットの事。麝香鹿の分泌物から採った香料ムスクが語源とあって、たいへんアロマティック。りんごや洋梨、アカシアの花々などの香りと共に、ちょうどマスカットを頬張っているようなジューシー&フルーティーなワインを醸し出します。
ほんのり甘口でやさしい泡が誰にでも愛されるスパークリングワイン、アスティ・スプマンテが有名ですが、他にもモスカート・ビアンコの魅力をぎゅっと凝縮したような微発泡のスパークリングワイン、モスカート・ダスティもおすすめ。
イタリアワインの白ぶどう品種②トレッビアーノ
イタリアで最も人気のある白ぶどう品種と言われているのが、トレッビアーノ。フランスではユニ・ブランと呼ばれブランデーの原料になっています。
イタリアの幅広い地域で栽培され、エミリア・ロマーニャ州ではバルサミコ酢の原料に、トスカーナ州では先にご紹介したキャンティのブレンド用として唯一使用が認められています。さっぱりと爽やかでニュートラルな仕上がりが、応用範囲の広さと、どなたにでも愛される所以と言えるでしょう。汗だくになるまでがんばった夏の夜にキン!と冷えたトレッビアーノ。至福です♬
イタリアワインの白ぶどう品種③アルネイス
ピエモンテ州で栽培されているぶどう品種アルネイスは、昔「バローロ・ビアンコ」とも呼ばれ、バローロの力強さをやわらげるためのブレンド用として使われることが主流でしたが、バローロをネッビオーロだけで醸す事になってから衰退の一途に。
しかしながら、近年ではDOCGに認定されるほどの人気ワインにまで蘇りました。 シトラス系フルーツや青りんごのアロマに、洋梨やアプリコット等まろやかな質感を感じる果実味もプラス。ナッツ系のニュアンスが特徴のやわらかなコクを持つおすすめの一本です。
イタリア高級ワインといえば?
イタリアの高級ワインと言えば、前の章にもたびたび登場してきたバローロやバルバレスコが有名ですが、ここではトスカーナ州の革命児スーパータスカンのお話を。
スーパータスカンの他にスーパーIGTとも呼ばれていますが、IGTと言えば先にご説明したワイン法の“三番手”。DOCGやDOCより下のランクのワインですが、そのワインがどうして“スーパー”と呼ばれるようになったのでしょうか?
IGTが“スーパー”を名乗る訳
舞台はトスカーナ州。トスカーナ州の伝統を背負ったワインと言えば、キャンティです。 もともとキャンティが白ワインだったという事も由来しているのでしょうか、キャンティは、昔、サンジョベーゼを主体にした赤ぶどう品種に白ぶどう品種のトレッビアーノを混ぜる事が定められており、トスカーナ州の顔とも言えるサンジョベーゼだけでワインを造る事も認められていませんでした。
一方、前の章でも少しお話したように、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなど国際品種に消極的な生産者も多く、それらトスカーナ州の歴史と伝統を踏まえた上で認められたDOCキャンティだったのですが、だったら格付け関係なく好きなようにワインを造ろうよ!というIGTへの格下げもいとわない、自らの理想に忠実であろうとする人々によって、新時代の幕は開けていったのです。
自由とこだわりのイタリアワイン、サッシカイヤ
スーパータスカンというイタリアワインの新ジャンルの先駆けは、キャンティに隣接するボルゲリの生産者が造る「サッシカイヤ」。
外来ぶどう品種カベルネ・ソーヴィニヨンから造られた、今までのイタリアワインからは考えられないワインでした。 この生産者はもともとボルドーワインが大好きな侯爵で、ボルゲリ領主の娘と結婚したことにより手に入れた広大な土地で自家用のワインを造っていました。
しかもぶどうの苗はフランスワインの五大シャトー「シャトー・ラフィット」から譲り受けた苗だったという、なんともスーパーなお話です。 その自家用ワインが評判を呼び、あれよあれよという間にDOCボルゲリ・サッシカイヤという単独ワイナリー初のDOCまで手に入れるという快挙を成し遂げたのです。
イタリアワインとフランスワインのブレンド・スーパータスカン
こうしてフランス由来のぶどう品種から生まれるワインが脚光を浴びていくイタリアワインでしたが、それは、生粋のイタリアぶどうであるサンジョベーゼにも良い影響を与えていきました。
カベルネ・ソーヴィニヨンにサンジョベーゼをブレンドした「ソライヤ」、サンジョベーゼ100%で造られた「ル・ペルゴーレ・トルテ」など、その美味しさが評判を呼ぶと、伝統にこだわり続けていたキャンティにもサンジョベーゼ100%のワインが可能になり、結果的にはキャンティやキャンティ・クラシコの品質の向上が実現していったのです。
ちなみに冒頭でお話した私の思い出のイタリアワインは「ル・ペルゴーレ・トルテ」でした。みなさんにも素敵な出会いがありますように。
コスパが高いおすすめイタリアワイン
さて、スーパータスカンの話の後は初心に戻って(笑)コスパの高いイタリアワインを産地とぶどう品種別にピックアップしたいと思います。
やはりイタリアワインは庶民の味方です!
ピエモンテ州×コルテーゼ
ピエモンテ州の白ワインDOCGガヴィを造るのは、歴史あるぶどう品種、コルテーゼ。
ライムやグレープフルーツなどジューシーなシトラスアロマにハーヴィーなニュアンス。若干クリスピーな口当たりも楽しめる心地良い酸味。爽やかさの奥に感じるバランスの良い糖度とコクが、飲み飽きしない白ワインを醸し出します。
1000円~2000円代のものもたくさんありますので「白ワインに迷った時はガヴィ」。私もお客様にたくさんおすすめしています。
ヴェネト州×グレーラ
世界で一番売れているスパークリングワイン、プロセッコの主要ぶどう品種グレーラ。以前はプロセッコと呼ばれ、ワインの名前とぶどう品種名が統一されていましたが、ワイン名の方のプロセッコがあまりに有名になってしまったため、ヴェネト州以外の産地からプロセッコを名乗るワインが続出。
歴史ある生産地としてのプロセッコを守るために原産地呼称に申請。それを機にグレーラと改名しました。
青りんごや白桃などのみずみずしさを前面に押し出した素直な果実味に、軽やかな酸味。アルコール度数が控えめに抑えられているのも、1000円~2000円代で十分探せるのも、デイリーワインとして、やさしいスパークリングワインです。
シチリア島×ネロ・ダヴォラ
近年、世界的な人気を集めているネロ・ダヴォラ。シチリア島を代表する赤ぶどう品種です。甘さを感じるほどの充実したタンニン、プラムやブラックベリーなどの色の濃い果実のアロマなど、しっかりとした凝縮度を感じる力強いぶどう品種ですが、樽熟成によってバランスよく仕上がるのが特徴です。
フランスでは、ポリフェノールを豊富に含んだネロ・ダヴォラのワインを医療用として使っていたこともあるそうで、これなら健康を気にする方も気軽に試せそうですね。こちらも1000円~2000円代で探せる、リーズナブルなワインです。
その他、前の章でお話したキャンティやランブルスコ、白ぶどう品種を使ったワインにもリーズナブルなものがたくさん!ぜひ探してみてくださいね。
イタリアワインとおすすめのペアリング
それぞれの州で育まれてきたイタリアワインですから、お料理も共通の土地で親しまれている郷土料理とのペアリングがおすすめ。
ここでは、各州を代表する郷土料理に少々アレンジを加えながら、イタリアワインとのペアリングを考えてみたいと思います。
ピエモンテ州の郷土料理バーニャカウダ×ガヴィ
アンチョビやニンニクを入れた熱々のオリーブオイルをソースに、野菜やお肉、魚、なんでも浸して食べるバーニャカウダ。一通り楽しんだ後は卵を入れてスクランブルエッグにするのがイタリア流です。
ペアリングしたいワインは、こちらもピエモンテを代表する白ワイン、ガヴィ。その素直な果実味で、どんなお料理とも抜群の相性を発揮するワインですが、爽やかなミネラルのニュアンスが魚介類、甲殻類の臭みもリセット。これからの季節は菜の花や筍、とれたての山菜など、しゃっきりとした歯ごたえのある野菜を加えて春の息吹を感じてみるのはいかがでしょうか?
ロンバルディーア州の郷土料理ミラノ風カツレツ×ピノ・ネーロ
薄く叩いた子牛の肉に衣をつけて少なめの油で揚げ焼きにするカツレツですが、衣に粉チーズを加えるのがミラノ風。
お肉の旨味をチーズで閉じ込めた食べ応えのあるお料理ですので、ペアリングするワインはさっぱりとジューシーなピノ・ネーロなんていかがでしょう?
イタリア北部の比較的冷涼な土地で栽培されるピノ・ネーロとは、あのピノ・ノワールの事。ロンバルディーア州でも、苺やフランボワーズなどのチャーミングなアロマとしなやかな果実味を持つピノ・ネーロが造られています。 カツレツには、紅茶の茶葉で風味づけしたトマトソースを乗せて。ドライフラワーのようなアロマを持つピノ・ネーロとの、ちょっと華やかなペアリングです。
トスカーナ州の郷土料理カッチュッコ×キャンティ・クラシコ
カッチュッコとは、魚介類をトマトソースでコトコト煮込みパンを添えて食べるブイヤベースのような煮込み料理。イタリア語でCacciucco。“c”の文字が5個入る事から5種類以上の魚介類を入れるという遊び心がなんともイタリアらしい、トスカーナ州の郷土料理です。
魚介類のコクと旨味が凝縮されたカッチュッコには、長い熟成期間によって奥の深さを身に着けたキャンティ・クラシコを合わせてみましょう。カッチュッコの隠し味に、ほんのちょっとのお味噌を加えると、発酵食品の滋味深さと旨味が身体に染みる、あったかいマリアージュが楽しめます。
〆のリゾットまで、たっぷりと味わってください。
こんな人には是非イタリアを試して欲しい!
甘口ワインが好き!
バラエティー豊かなイタリアワインは甘口ワインも豊富。スパークリングワインを取っても、アスティ・スプマンテやモスカート・ダスティ、ランブルスコなど、ほんのりとした甘口からしっかりとした糖度を感じるものまで、たくさんの選択肢の中からお好みでチョイス!飽きる事がありません。
スティルワインで有名なのはストローワイン。藁“ストロー”の上で乾燥させた事から、そう呼ばれるようになりました。水分を蒸発、凝縮させた干しぶどうから造られる甘口のワインで、イタリアではパッシート、レチョート、アマローネと、こちらも目移りしそうなラインナップですが、イタリア全土で造られているお手頃価格が多いのがパッシート。
レチョート、アマローネは共にヴェネト州で造られますが、ヴァルポリチェッラ地区限定のアマローネはDOCGに認定された高級ワイン。高い糖度をほとんど熟成に費やすため辛口となりますが、ビターチョコレートのようななめらかさ、さまざまな要素が入り乱れる官能的なお味にはうっとり。ほどけていくようなひと時を堪能できますよ。
食後酒もこだわりたい!
先にお話した甘口タイプもデザートワインとして楽しめるのはもちろんですが、ここでご紹介したいのはシチリア島でNo.1の生産量を誇る酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)マルサラ。
アルコール発酵させた白ワインにブランデーなどの蒸留酒を加え、樽熟成。中には10年熟成させるものもあり、ナッティーでカラメルのようなアロマと暖かみのある豊かな味わいは寒い日にぴったりです。
他にもワインを造った際に出来た搾りかすから造られる蒸留酒グラッパや、それぞれの家庭で造られるほどポピュラーなリモンチェッロというリキュールも食後酒にはぴったり。瀬戸内のレモンの美味しさに触発されて作った我が家のリモンチェッロも、そろそろ飲み頃かな♬
高級ワインを出来るだけリーズナブルに飲みたい!
こちらでもたびたび登場してきたイタリアワインの王様バローロ。その至福の味わいをもっと気軽に楽しめたら幸せ…そんなみなさんにおすすめしたいのはランゲ・ネッビオーロです。
ネッビオーロのご紹介でも触れましたが、バローロのバローロたる所以のひとつに長い熟成期間があり、最低でも3年以上熟成しなければその名前を名乗ることが出来ません。しかし、バローロエリアを含むランゲ地方で栽培されるネッビオーロから醸されたワインは決められた熟成期間がないので、ネッビオーロが本来持っているポテンシャルの高さを早くから楽しむことが出来るのです。
しかも、バローロとして醸造されながら惜しくも基準に満たなかったワインも、ランゲ・ネッビーオーロならエントリー可能!王様の風格までは行かないまでも、バローロの何分の一かのお値段で、非常にクオリティーの高いワインが堪能できるなんて、それはもう十分幸せですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?バラエティーに富んだイタリアワインの魅力は話し出せばキリがなく…ただ、フレンドリーで陽気なキャラクターに親近感を持っていただけたら、これから自然に親しくなっていけること間違いなし!です。
食事あってこそのイタリアワイン。お気に入りのペアリングもどんどん探してみてくださいね。
著者:Yuko Imai