Chardonnay

chardonnay

シャルドネってどんなブドウ品種?

世界中で広く愛され、「白ワインの女王」と呼ばれる程の高い知名度と人気を誇るシャルドネ。

最高峰のワインを生み出すブルゴーニュ地方を始めとした、フランス原産の白ワイン品種です。現在ではヨーロッパだけでなく、アメリカ大陸やオセアニア、日本などのアジアでも多く栽培され、高級ワインからお手頃なデイリーワインまで、非常にバラエティー豊かなワインが生まれています。

さらに、シャルドネは繊細な風味を持つがゆえに、栽培される場所や造り手の細かな個性までもがはっきりとワインに現れ、非常に多様な味わいタイプが生まれます。そんな様々な表情を持つシャルドネの、味わいの傾向やパターンをある程度知っておくと、ぐっとワインの世界が広がりますよ。

シャルドネの味わいの特徴

シャルドネ

「シャルドネのワイン」と一口に言っても、その味わいは多種多様。

同じ品種でも、産地と造り方で劇的に香りも味わいも変化します。加えて、通常の白ワインだけでなく発泡性のスパークリングワインも造られているので、ワインを選ぶ時にはいつも別人の様に多方面の魅力を持ったシャルドネに出会います。

しかし、そんな個性のあるワインを多く生み出すシャルドネ自体の味わいは、一般的に「ニュートラル」であると言われています。実は、シャルドネ自体は非常に優しい風味で、繊細な味わいをもつブドウなのです。そのため、真っ白なキャンバスに思い思いの絵を描いていくように、その栽培地の特徴(テロワールと呼ばれます)や醸造方法、熟成の仕方や造り手の細かな個性までもがワインに色濃く反映され、多様な香りや味わいを持つワインが変幻自在に生まれるのです。

ただし色んな個性がある一方で、出来上がるワインの味わいには、共通点やある程度のパターンが存在します。

一つは、シャルドネのワインには飲みやすいものが多いという点。先述したように、ブドウ自体の個性は突出しておらず優しい風味のため、フルーティで親しみやすい味わいに仕立てられることが多いです。

二つ目には、ワイン造りの工程で木樽を使っているかどうか。木樽を使わずに、ステンレスタンクなどで醸造から熟成までを行ってリリースされたシャルドネのワインは、とてもフルーティですっきりとした、フレッシュな印象に仕上がります。生き生きとした柑橘類やトロピカルフルーツのような風味を感じられるので、鶏肉や白身魚などの淡白な食材を使った料理や、野菜が主役の食事にもよく合います。

一方で木樽を使用して仕立てられると、そこにバニラやナッツ、スパイスなどの、甘やかで芳ばしい香りが加わり、ボリューム感のあ る豊かな味わいのワインになります。先ほどと同じ食材の料理でも、クリーミーな味付けが良く合うような、コク深い味わいを楽しめます。

ちなみに、ワインボトルの外見から木樽を使っているかどうかの判別は非常に難しいですが、気軽にお店の方に聞いてみたり、最近ではwebやワインアプリで検索すると簡単に分かりますので、シャルドネのワイン選びの際にはこの点を参考にしてみてください。

こんなワインが好みの方には是非シャルドネを試して欲しい!

シャルドネ

さて、そんな多彩な味わいと親しみやすい味わいが魅力のシャルドネ。

ゆえに幅広い方にお勧めできるワイン品種なのですが、このような方にこそ、ぜひ楽しんでいただきたいと思っています。

① ワインの好みがまだわからない!

ワインを飲み始めたばかりであったり、たまにしか飲まないという方から、「そもそもワインの好みなんて決まっていないし、わからない」というお声を良く伺います。そんな時、私は必ずといって良いほどシャルドネをお勧めします。

味わいの特徴でも少しお話したように、シャルドネのワインはフルーティかつ、酸味などの「飲みにくい」と感じる要素が突出していないので、とても親しみやすい味わいです。

また食事にも幅広く合わせやすいため、ペアリングも簡単。「とりあえず、ワインを飲みたい。」といった時にも、難しく考えず、お好きな食べ物と気軽にワインを楽しんでいただけます。

そして特に、初めてワインを飲むという方には間違いなくシャルドネをお試しいただきたいです!後ほど詳しくお話いたしますが、南半球など暖かい地方で造られたシャルドネのワインは、とってもフルーティで口当たりもまろやか。酸味が苦手な私が白ワインを大好きになったきっかけは、このような味わいのカリフォルニア産シャルドネに出会ったことがきっかけでした。

② 白ワインは物足りない!

シャルドネに限らず、比較的すっきりとした味わいの白ワイン。飲みやすく軽やかな味わいが親しみやすい一方で、「白ワインは軽くてちょっと物足りない。」「けれど赤ワインの気分でもない。」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実はそういった場合には、木樽を使ったシャルドネがピッタリなのです。濃厚なコクのある白ワインを一度味わえば、物足りなさはたちまち吹き飛び、とりこになること間違いなしです。

産地別に見るシャルドネ

シャルドネ

冒頭で軽く触れましたが、フランス生まれのシャルドネは世界各国で広く栽培されています。産地ごとにそれぞれの個性がありますが、主にその地の気温が大きく影響します。

ざっくりと分けると、暖かい地方のシャルドネはまろやかな甘味があり、トロピカルな印象。寒い地方ではスマートな酸味と柑橘類の香りが、上品な印象に仕上がります。このような気温の違いを基準に、注目の産地ごとの特徴を詳しくご紹介いたします。

① フランスのシャルドネ

まずはシャルドネの聖地、フランスです。言わずと知れたワイン大国ですね。

その中でも、特にシャルドネが有名なブルゴーニュ地方やシャンパーニュ地方は、北海道よりも高い緯度に位置する冷涼な地域。生み出されるシャルドネは、キリっとシャープな味わいのタイプから、優しい酸味で木樽熟成由来の豊かな香りを持つタイプまで非常に様々です。

さらに、同じフランスの中でも地中海に近いラングドッグ・ルーション地方は少し暖かいので、より果実味に厚みが増し、白桃や黄桃の風味が現れます。 このように同じ国の中でも様々な味わいタイプがありますが、フランスのシャルドネには一点、共通して感じられる印象があります。

それは、上品な気品

個人的な見解ですが、どこからともなく溢れ出るそのオーラは、まさにパリの街を優雅に闊歩するマドモアゼルのよう。ワインを飲み慣れてからは、ブラインドでも「なんだかエレガントだな…」と思ったワインは、フランス産であることが多いです。お手頃なテーブルワインを飲んでも、飾らない素朴さの中に隠し切れない上品さが漂っているように思います。

② アメリカのシャルドネ

一方、アメリカのシャルドネは、とても親しみやすいカジュアルさが印象的。

あのとてつもなく広い国土の中、北から南まですべての州でワイン造りが行われていますが、ここでは国内のワイン生産量の9割程を占め、特にシャルドネが多く栽培されているカリフォルニア州のワインについてお話します。

これほどまでにカリフォルニアでシャルドネが広まったのは、ある事件がきっかけでした。当時、ヨーロッパこそがワイン産地の主流であり、アメリカなどのヨーロッパからワイン造りが伝えられた、言わば新参者の「ニューワールド」と呼ばれる国のワインはなかなかスポットライトを浴びることが出来ませんでした。

しかし1976年、パリで行われたブラインドテイスティングの大会で、なんとカリフォルニア産のシャルドネがフランスの一流ワイナリーに勝利。この一件は世界を大きく驚かせ、瞬く間にカリフォルニア産ワインの人気が高まり高い評価を受けるようになりました。

そんなカリフォルニア州の緯度は日本の四国と同じくらいで、カラッとした夏と暖かい冬の影響を受け、太陽の恵みをたっぷりと浴びたシャルドネが育まれています。現在では、すっきりとしたタイプやエレガントなワインが好まれる世界トレンドを踏まえて、ブドウの糖度をなるべく抑えた栽培も盛んです。

それでも、この気候や土壌の特徴も相まってか、カリフォルニアのシャルドネは果実の熟度が高く、パイナップルやマンゴーなどのトロピカルフルーツを思わせる風味が特徴です。

このボリューム感のある果実味と穏やかな酸味が、さんさんと降り注ぐ太陽の輝きや、温厚でユーモアに溢れた現地の方々を彷彿とさせるようなワインを生み出します。カリフォルニアのシャルドネをいただくと、私はいつも、麦わら帽子とジーンズがよく似合う農家さんの陽気な笑顔が思い浮かび、どこかほっとする気持ちになります。

実は高級ワインにもこの親しみやすさは健在なので、産地の特徴というものは大変興味深いですね。

③ イタリアのシャルドネ

 またヨーロッパの国に戻って参りましたが、ちょうどイタリア産シャルドネのイメージは、フランスとアメリカの中間。

上品さと親しみやすさを、見事なバランスで兼ね備えています。 南北に長く延びるイタリアの緯度は、北部のピエモンテ州で北海道、南部のシチリア島で中部地方辺りと、比較的日本と似た位置にあります。

実はワイン生産量が世界一位のイタリア。その中でも、シャルドネは国内で3番目に多い白ブドウ品種です。イタリアのシャルドネは、白い花を思わせるフローラルなアロマがほのかに香るところが特徴。さらに、フランスのようなスマートな酸味を持ちながら、カリフォルニアよりは少し控えめな、豊かな果実味を備えています。この絶妙なバランスが、とても食事に合わせやすいのです。

流石、美食大国のイタリアですね。ぜひ、イタリアのお手頃なシャルドネを1本、日常の食卓に添えてみてください。きっと現地の方々の様に、楽しいおしゃべりに花が咲くことでしょう。

④ チリのシャルドネ

  今やデイリーワインの定番となり、ハイクラスのワインも続々と注目を浴びている、ニューワールドのワイン大国の一つ、チリ。

南アメリカ大陸に位置するので暖かいイメージがありますが、実は南極に近い緯度であったり、大きな山脈が国土を縦断しているために標高が高かったりと、冷涼な産地が多いです。そして、最大の特徴は乾燥した気候と水はけのよい土壌。雨だけではなく灌漑で水を与える必要があるほど、他のワイン産地と比べて乾燥した環境なのです。

そんなチリのシャルドネは、トロピカルフルーツの風味と穏やかな酸味が、とてもフレンドリーな味わい。カリフォルニアと似た果実味豊かなタイプですが、どちらかというとチリのシャルドネは、ドライフルーツのようにカラッとした甘い香りが印象的

壮大なアンデス山脈やアタカマ砂漠に思いを馳せながら、ゆったりとグラスを傾ける…のも素敵ですが、チリのシャルドネをいただく際は、民族音楽が流れる現地の酒場の雰囲気で、おつまみと一緒に、フレンドリーな味わいを気軽に楽しみたいですね。

【+wine編集部より】+wineのシャルドネでオススメのワイン

まず初めにお勧めしたいのは、「フィールドレコーディングズ ドライホップペットナット」です。

こちらはペットナットといわれるスタイルのスパークリングなのですが、なんとホップと共に低温発酵されているため、ほのかにホップが香るユニークなスパークリングなのです。

初めて一口飲んだ時、その新鮮さにすぐに虜になりその場で+wineでの取り扱いを決めた1本。少し変わったスパークリングとして手土産にも喜ばれますのでぜひ。

続いてお勧めしたいのは、「ステルマー シャルドネ」。こちらはデイリーワインとして非常に使いやすい1本です。

カリフォルニアらしい果実味がありながらも、くどすぎず、お食事にも合わせやすいので家に1本あると心強いですよ。+wine店長布川の家にも必ず1本、いや2本は常備しているワインです。

まとめ

シャルドネ

世界で最も有名な白ワイン品種、シャルドネ。同じ品種でも、場所や造り方が違えば変幻自在に多彩な表情を見せてくれる、とても面白い品種です。

白ワインの世界への第一歩に、どんな場面でも飲み手を楽しませてくれるシャルドネのワインを、ぜひお試しください。