Riesling

リースリング

リースリングってどんなブドウ品種?

リースリングはシャルドネと肩を並べる高貴品種で、ドイツを代表する白ワイン用ブドウ品種です。

ブドウは小粒で、果皮は黄緑色。完熟すると赤茶色の斑点が出てきます。品質の高さはもちろん、長期間の保存にも耐えうるまさに逸材なブドウ品種です。

リースリングは、寒さに強く冷涼な気候や水はけのいい痩せた土壌を好みます。標高が高くて冷涼な地域で生育されると本領を発揮するものの、気難しい品種でもあり、栽培のリスクが高いのも特徴となります。

有名な産地はドイツのラインガウ地方、フランス北部のアルザス地方が二大産地です。そのほかオーストラリアのクリア・ヴァレーアやエデンヴァレー、アメリカのニューヨーク州やオレゴン州、ニュージーランドのマールボロなどが挙げられます。

若いうちは白い花の香りが印象的ですが、熟成するにつれ、ぺトロール香と呼ばれる石油に似た独特な香りを放ちます。このぺトロール香は、昔は「キューピー人形」の香りに似ていると教えられました。

甘美な香りとキリッとした真っすぐな酸が、長期熟成に耐えうる要素になります。さわやかで優しい甘さとして知名度が高いのですが、最近では辛口のリースリングも増え、様々な表情を私たちに魅せてくれます。

リースリングのイメージを表すと、エレガンス、高貴、可憐、繊細、甘美、透明感。人になぞらえると「魅惑の超絶美女」でしょうか。

今回はそんなリースリングをじっくりご紹介していきたいと思います。

リースリングの味わいの特徴

リースリング

リースリングはなんといっても非常に強いシャープな酸が最大の個性です。

リースリングには辛口から甘口まであらゆるタイプがありますが、全てのタイプにこのシャープな酸が共通しています。洗練されたミネラル感も特徴の1つで、果実味も豊か、バランスも良好です。

白い花の香りやリンゴ、柑橘、洋ナシ、白桃、ハチミツを思わせる甘い香り、まっすぐ凛とした酸味が口中に広がるのがポイント。凝縮感があり味わいの余韻も長め。キリッとよく冷やして楽しみたい味わいです。

完熟したリースリングは、シャープな酸がさらに際立ち、全体的に優雅で繊細な印象になります。特に甘口の場合は、この鋭い酸が残糖分とバランスを取って、繊細なスタイルが誕生するのです。

少し張り詰めたような高貴な味わいこそが、リースリング本来の真価を発揮した証。そんなリースリングに合わせたい料理は、素材を活かした調理法や味付けをしたものです。

例えば銘醸地のドイツやアルザスでは、ソーセージや塊肉の煮込み、ザワークラウトと呼ぶ自然発酵した酸っぱいキャベツ、キッシュ、ポトフ、オムレツなどの卵料理と合わせて楽しみます。

特にクセのない白身魚や豚肉などとの相性は抜群です。バターをのせた白身魚のホイル焼きに柑橘を少し絞ったものと合わせても。ポン酢ダレをかけた豚のしゃぶしゃぶなども良いでしょう。

クセが少ないワインなので、シンプルな和食とも合わせやすく、私たち日本人にも嬉しいところ。もちろんワイン単体でも十分楽しめるのがリースリングのポテンシャルの高さです。幸せな甘さが一日の疲れをきっと癒してくれるでしょう。

こんなワインが好みの方には是非リースリングを試して欲しい!

リースリングは甘口から辛口、スパークリングワインまで揃う、とてもバラエティに富んだ、かつ奥深いワインです。

気軽に楽しめ(間口が広い)、スタイルの違う様々な個性が楽しめ(奥行きが深い)、ワインの世界を楽しむ入口として、まさにうってつけのワインだと思います。

ワイン愛好家たちはもちろんのこと、初心者にこそお勧めしたいワインです。

特に「ワインの渋みは苦手」という方にぜひリースリングの幸せな甘さを経験してほしいところ。実は筆者も生まれて初めて飲んだワインは、中甘口のカビネットと呼ばれるワインでした。

学生時代、女子ばかりでお泊り会をした際、ネコの絵が描かれたエチケット(ラベル)に惹かれ、少し背伸びをしてワインを購入。私も仲間もワインを飲んだのは生まれて初めてでしたが、飲みやすさと女子受けする「わかりやすい美味しさ」に、1本すぐになくなりました。

その「わかりやすく美味しい、幸せな甘さ」の体験が、ワインの世界に興味を持つきっかけになったのです。今でも一人でのんびりとキリッと冷やした甘いリースリングを飲むと、あの頃を想い出し幸せな気持ちになります。

リースリングは食中酒だけでなく、単体で飲んでも十分に楽しめるワインです。甘美で飲みやすいタイプもあれば、ミネラル感溢れるタイプ、コクが豊かなタイプ、アイスワイン(凍ってシャーベット状になったブドウを使ったワインで糖度が高いもの)、極甘口の貴腐ワイン(カビの力を借りて果汁の糖度を上げたもの)、スパークリングワイン(ゼクト)まで、多彩なワインを生み出すリースリング。

複雑で捉えどころのないその姿は、まるで追いかけると逃げていく恋愛上級者の女性を彷彿させます。飲みやすいリースリングを起点に、産地やスタイルなど少しずつ幅を広げながら飲み比べをして、理想のリースリングを探してみませんか。

産地別に見るリースリング

①ドイツ

ドイツは寒冷な気候から生まれる白ワイン大国。

中甘口から極甘口まで、様々なスタイルの甘口ワインが有名な国です。ドイツは収穫時のブドウ果汁の糖度で、指定地域有料ワインを等級分けしている国。いわゆる果汁糖度による分類をしています。

最上級はトロッケンベーレンアウスレーゼ。貴腐化が進み、干しブドウになった果粒を選別して造ったワインです。甘ければ甘いほど等級が高く、良いとされているのです。そのブドウ品種として最適なのがリースリングで、ドイツでは世界最大の栽培面積を誇っています。

主要産地はラインガウ地方。全栽培面積の4分の3以上をリースリングが占めています。実は中甘口というスタイルは寒冷地では味覚上の必然性があります。酸味と甘みはお互いに和らげ合い、酸が強くて少し飲みにくい辛口の白ワインに、甘みが加わると酸が和らぎバランスが整います。

甘みもこの酸味によって抑制されるので、べとべとした甘さは全くありません。それはリースリングが高貴な白ワインといわれる所以でもあります。最近では世界のトレンドに合わせて、辛口ワインの生産も増えてきました。

次にドイツ以外のリースリングの産地を4つご紹介していきます。

②フランス アルザス地方

リースリングの産地

1つ目はドイツと肩を並べる銘醸地、フランスのアルザス地方。

フランスの北東に位置し、ライン河を挟んでドイツとの国境沿いにあるワイン産地です。ドイツの影響を強く受けていて、瓶の形もドイツと同じ細身のフルート型と呼ばれる瓶を採用しています。

単一品種でワインを造るのが特徴の産地です。1975年に「アルザス・グラン・クリュ」という「特級畑」が設定され、対象として認められているのが、リースリングのほか、ゲヴェルツトラミネール、ミュスカ、ピノ・グリの4種類の白ワイン。

アルザスにおける四大高貴品種と呼ばれています。

③オーストラリア

リースリングの産地

ワイン生産の歴史が浅い生産国、新世界(ニューワールド)でも素晴らしいリースリングが造られています。その代表として有名なのは、オーストラリア、アメリカ、ニュージーランド。3つ目のご紹介はオーストラリアです。

南オーストラリアの中北部に位置するクリア・ヴァレーが有名です。日中と夜間の気温差が大きい地域。リースリングの特徴的なシャープな酸は、ドイツやアルザスと比べてとても穏やか。この地では辛口のリースリングが有名です。

④アメリカ

リースリングの産地

4つ目はアメリカです。ニューヨーク州や西海岸の北に位置するワシントン州が中心。

カナダとの国境に面し、アメリカ最大のワイン産地はニューヨーク州。冬は厳しい寒さ、夏はむし暑い地域です。ニューヨーク州にあるフィンガー・レイクスという生産地は、その名の通り、細長い指の形をした大小11個の湖があります。

この湖が夏は涼しい風を吹かせ、冬は寒さや霜から被害リスクを軽減する役割を担っています。石灰岩やミネラルを多く含んだ土壌は、酸の高い品種に絶好のパフォーマンスを与えています。

⑤ニュージーランド

リースリングの産地

5つ目はニュージーランド。ここで圧倒的に有名なブドウ品種はソーヴィニヨン・ブランですが、比較的温度の低いニュージーランドの南島に位置するセントラル・オタゴでは、高品質なリースリングが造られています。

世界最南端にあるワイン産地から生まれるリースリングはしっかりとした酸、フルーティさが特徴です。

【+wine編集部より】+wineのリースリングでオススメのワイン

おすすめリースリング

まずお勧めしたいのは少し甘めのリースリング。「ハイブアンドハニー リースリング」です。

こちらは白桃のような香りに、リースリングらしいシャープな酸、後味はほんのり甘く、まさにリースリングの良いところをぎゅっとボトルに詰めたような1本。

ワイン初心者の方でも飲みやすいですので、ぜひ。

お勧めリースリング

次にお勧めしたいのが、「シーグラス リースリング」。こちらは、青いボトルが印象的な1本です。

特徴はなんと言っても優雅な香り。セイロンティーを思わせるような香りにグラスに注いだ瞬間からうっとりさせられること間違いなしです。

おすすめリースリング

最後にお勧めしたいのが、「アニーズレイン リースリング」。こちらはオーストラリアのリースリングですが、オーストラリアらしい仕上がりの1本です。

ライムのような香りにキレのある酸。飲み口は非常に爽やかで揚げ物なんかとも相性抜群です。

まとめ

今回は「【初心者用】リースリングの特徴・違い・オススメまで全解説」をお届けしました。

いかがだったでしょうか。

リースリングは極甘口から辛口、スパークリングワインまで、幅広い個性豊かなスタイルが揃っていて、私たちを飽きさせません。

ただし幅広いからこそ、当たり外れに出会う可能性も高いでしょう。それも出会いの1つとなり、ワイン上級者をトリコにさせるポイントでもあります。

ワインビギナーにこそおすすめしたいのは、ずばり「ジャケ買い」です。リースリングのエチケット(ラベル)はオシャレで可愛いもの、素敵なものが多いので、自分の感性に合うものを見つけたら気軽にトライしてみましょう。

またドイツやフランスのアルザス地方のリースリングに使われているほっそりとしたフルート型の瓶も、特別感があり気分が上がります。あなた好みの「魅惑の超絶美女、リースリング」を探してみませんか。

きっとワインの奥深い世界に入り込む、入口になるはずです。