シラー(Syrah)というぶどう品種、あまり馴染みのない方も多いかもしれません。 世界ではどんどん栽培面積が増えており、近年大変人気の出てきた品種ではありますが、まだまだあまり有名でないのが事実です。
そこで、今回はそんなシラー種について詳しくご紹介させて頂きます。
- シラーって聞いたことがない
- どんなワインなの?
- お料理に合うの?
- どこの国のワイン?
などなど、気になること全てご紹介します。 読み終わるころにはあなたはきっと、シラーを飲みたくなること間違いありません。
シラーってどんなブドウ品種?
発祥の地 シラーは、フランスのローヌ地方が原産地と言われています。原産地なだけあり、ローヌは世界のシラーワインの中でも最も高品質なワインを生み出している産地になります。 栽培面積はやはりフランスが一番多く、次いで2番目にオーストラリアが多く栽培されています。
シラーの知識①呼び方の違い
シラーは産地によって呼び方が変わることがあります。 発祥の地ローヌでは、「セリーヌ」と呼ばれており、なんとなくですが、高級感が感じられる名前ですよね。ワインも高級なものが多いのが特徴です。
また栽培面積2位のオーストラリアでは「シラーズ(Shiraz)」と呼ばれています。 シラーとシラーズは同じように聞こえますが、実は味わいは全く異なるんです。 後ほど詳しくご紹介しますね。
シラーの知識②長期熟成向き
シラーの果実は、赤ワイン用ぶどうの代表品種カベルネ・ソーヴィニヨンに似て、色は濃く実もしっかりしています。
ワインにすると、濃厚な果実味やしっかりした酸、渋みもともなうことから、とても長期熟成向きになります。熟成によって渋みなどが柔らかくなり、良い変貌を遂げるワインとなります。
特に、ローヌの熟成シラーは高級ワインと言われるほど、とても美しいものをたくさん産出しています。
シラーの味わいの特徴
飲んだ瞬間はとてもパワフルな印象のシラー。 凝縮された果実味、酸味やアグレッシブなタンニン(渋み)が特徴的です。
ここで、代表的な知っておくと良いシラーの表現方法をご紹介します。
➀黒い果実で表現
シラー種は黒系果実と言われていて、プルーンやダークチェリーといった黒い果実の香りを感じるのが特徴的です。 特に温暖な地域(オーストラリアなど)のシラーではプルーンやブルーベリーの甘さやチョコレートを感じるようなワインもあります。
➁スパイシーで動物的
冷涼な地域(ローヌ地方)のシラーでは特に黒コショウなどのスパイスの香りや、生肉、血、鉄っぽい香りを得ることができます。
えっ?なんか美味しくなさそう、、 と思うかもしれませんが、これがまた驚くほどエレガントで上品な味わいを造り出すから不思議なんです。 ワインは本当に奥深いですよね。
こんなワインが好みの方には是非シラーを試して欲しい!
ピノ・ノワールはお好きでしょうか?普段からピノ・ノワールを好んで飲まれる方であればぜひ、シラー、特に熟成しているものを試してみてください。
というのも、実はシラーは、ピノ・ノワールがルーツと言われていて、どこか似たようなところがあります。 「ワイン好きが行き着くところはピノ・ノワール。」と言われていますが、 実は「ピノ・ノワール好きが行き着くところは熟成シラー。」 とも言われているのです。
それほど、シラー、特にローヌ地方の熟成シラーは、ブルゴーニュのピノ・ノワールのように、つややかで色っぽく、多くのワインラヴァーを魅了する程の官能的な味わいをかもし出すのです。 ぜひ一度試してみてください。
シラーにおすすめのお料理(マリアージュ)
お料理とワインを合わせることをマリアージュと言います。 せっかく飲むワイン、より美味しく楽しみたいですよね。 そこでシラーに合うお料理をいくつかご紹介します。
- カマンベールチーズ
- 鹿や鴨などワイルド系のお肉(ジビエ)
- 牛肉などの煮込み料理
- ラム肉のグリル
- レアステーキ
など どんなお料理でも、黒コショウを効かせると完璧です!
わたしのイチオシは、スーパーに売っているカマンベールチーズにブラックペッパーをかけるだけ!これであっという間にシラーにぴったりのおつまみが出来上がります!
その他には、ご紹介したように肉肉しいお肉料理と合わせるのが一般的なシラーですが、ここでひとつ意外なマリアージュをご紹介します。
「シラーとマグロのお刺身」です。
赤ワインと生魚?絶対合わないでしょ!? って思われるかもしれませんが、実はとっても相性が良いのです。
- シラーの特徴である血や鉄っぽい香り
- 鉄分の多いお魚、マグロ
この’’鉄’’という共通点により相乗効果がうまれて、爆発的な旨味をかもし出すのです! そして忘れてはいけないのが、お醤油です。 ワイン、お醤油ともに発酵食品ということもあり、発酵でうまれる塩味や酸味がワインの果実味とマッチして出汁醤油のような極上な味わいになります。 あの感動は忘れられません。
マグロに合わせるには冷涼な地域のシラーがおすすめです! 本当にぜひ一度試して頂きたい組み合わせです。
産地別に見るシラー
フランス ローヌのシラー
既に何度も名前が上がっていますが、シラーの原産地であるローヌは、比較的冷涼な地域です。その特徴として、スパイシーさ、野生っぽさ、繊細さがうまれます。
そして、ローヌ地方の北部ではシラー種に白ワイン用ぶどうをまぜる方法をとっている地域もあります。 それによって、シラー特有のスパイシーさ、野性っぽさが和らぎ、華やかで’’エレガント’’なワインになります。 「コート・ロティ」や「エルミタージュ」というワインがその代表的なものになります。
この2つはシラーを代表するワインと言っても過言ではありません。 そして冒頭でお話しした、’’ワインラヴァーを魅了する熟成シラー’’がこれら2つに値します。20年を超えてやっと飲み頃に達する高級熟成ワインもあります。 ピノ・ノワールがお好きな方はもちろん、そうでない方も機会があればぜひ試してみて下さい。
フランス ラングドック・ルーションのシラー
ラングドック・ルーションはフランスの南西、スペインとの国境近くにある地方で、比較的お手頃なワインを多く産出している地域になります。
地中海に面した場所で、ぶどうの生育期である夏にほとんど雨が降らないので、ぶどう栽培にとても適しています。 それ故に、シラーはもちろん、たくさんの種類のブドウ品種が栽培されていて、ぶどうを数種類ブレンドしてワインを造ることが多いです。 温暖な地域であることから、ボリュームのある熟した濃厚な果実味に、後味にほんのりスパイシーさを感じるシラーが特徴的です。
1000円台から手に入ることや、果実味やブレンドによってシラー特有の味わいや香りが和らぐので、シラーワインの始めの一歩としてもおすすめの産地になります。
オーストラリアのシラー
すでにご紹介したように、オーストラリアではシラーズと呼ばれています。 オーストラリアで栽培されているワイン用ぶどうで一番造られている品種になります。
シラーズはオーストラリアの暖かい気候にぴったりで、病気にも強く、たくさん収穫出来ることから、どんどん広がっていきました。 特に南オーストラリア州のバロッサヴァレーという地域では1000円台のものから、世界でも定評のある高級シラーズのワインまで、さまざまなワインを楽しめます。
オーストラリアの高級シラーズは、本家のローヌ・シラーを脅かすほどの影響力を持っているとも言われるほどです。 シラーズの実はシラーに比べて嚙めるほど肉厚で、濃く甘いのが特徴です。チョコレートを感じることすらあります。
そんな果実から造られるワインは、熟した果実の味わい、飲みごたえ抜群でパワフル、そして程よいスパイスを感じることができます。ブラックペッパーを効かせたラムチョップとシラーズの組み合わせは最高です!
そして近年、オーストラリアの中でも特にメルボルンやシドニー近郊の冷涼な産地ではシラー(Syrah)と表記しているワインも増えてきました。 これは、文字通り原産地ローヌのシラーを意識して造られていて、味わいも、確かにローヌを感じる、上品でスパイス感のあるシラーになっています。
チリのシラー
コストパフォーマンスに優れたワインで有名なチリワインですが、シラーも多く造られています。 チリは南北に長い形をした国なので、温暖な地域から冷涼な地域までさまざまな気候を持っています。
温暖な地域では力強いタイプ、冷涼な地域ではエレガントなタイプなど、場所によって違いを楽しめるのがチリワインの特徴です。
カリフォルニアのシラー
アメリカ、カリフォルニアは高品質なカベルネ・ソーヴィニヨンの産地で知られていますが、実はシラーも上質なものがあります。 例えば、ワインの有名評論家ロバート・パーカー氏が、「ローヌの最上エルミタージュを彷彿とさせるワイン」と称賛した’’コングスガード’’が造るシラーワイン。
同じくロバート・パーカー氏がカリフォルニアのナパヴァレーのシラーワインで唯一100点をつけた’’コルギン’’のシラーワイン。 また、後ほど当店おすすめのワインでもご紹介させていただく、’’ストルプマン・ヴィンヤード’’のシラーワイン。
この生産者は、カリフォルニアでローヌ品種のワイン造りを目指している造り手から、「カリフォルニアで最高のシラーを造るならストルプマンのぶどうで」と言われるほど定評のある生産者です。
などなど、カリフォルニアでは上質なシラーを造る生産者の活躍は目覚ましいものがあります。
シラーはロゼにも最適
シラーはロゼワインによく使われる品種でもあります。 シラーは濃く深みのある色調なので、ロゼにしてもぼやけずに、しっかり飲みごたえのあるワインになります。
特にフランスのラングドック・ルーションやカリフォルニア、チリなどでもシラーを使ったロゼワインを数多く造っています。 ロゼワインを見かけたらぜひ品種をチェックしてみてください。 高確率でシラーが入っていますよ。
【+wine編集部より】+wineのシラーでオススメのワイン
まずお勧めしたいのが、「マイクプレス シラーズ」。こちらは南オーストラリアのシラーズとなります。
2,000円以下という価格ながら、オーストラリアらしい濃厚なシラーが味わえると+wineでも人気の1本です。
続いては、前章でもご紹介した「ストルプマン ヴィンヤード」の「パラマリア ロゼ」。
こちらはロゼですが、ストルプマンヴィンヤードの最高品質シラーが使われている1本で、いちごの可愛らしい香りにしっかりとした酸味、上品な果実味があるのが特徴です。
ストルプマンヴィンヤードのシラーは少々値が張るので、デイリーワインにはしずらい側面がありますが、こちであれば少しいい日に開けることができる価格帯なのも嬉しいですね。
非常に飲みやすいのでワインがそこまで得意でない方や、女性にもおすすめできるワインです。
まとめ
今までシラーを飲んだことがない方が多いかもしれませんが、意外と多くの場所で造られています。そしてシラーのファンは多く存在します。
- 本格的なエレガントシラーを試してみたい方は、ローヌのシラー
- 果実味たっぷりのパワフルシラーが気になる方は、ラングドック・ルーションやオーストラリアのシラー
などなど、産地によって名前も味も大きく変化する品種のシラー。 ぜひいろんなシラーを楽しんでみてください。 はまりだすと止まらなくなるかもしれませんね。