New Zealand

ニュージーランドワイン

ニュージーランドワインの特徴

ニュージーランドはオーストラリアの約1,900km東に位置する島国で、ワイン産地は北島から南島まで1,100kmに及びます。

南北に長いということは多様な気候条件や土壌に恵まれていることを意味しており、隣国のオーストラリアとはまた違ったワインを生み出します。ほとんどの産地は国の東側に広がっていて、西側に連なる山々が雨や風からワイン畑を守ってくれます。

また、ニュージーランドのその南緯から日照時間は長く※、海からの冷たい風でゆっくり良く熟すため、白ワイン赤ワインどちらも果実味が豊かでありつつ、とてもエレガントなワインを生産します。

そんなニュージーランドのワインと言えば白ワイン品種のソーヴィニヨン・ブラン。国のワイン畑の64%をこのブドウ品種が占めています。次点は赤ワイン品種のピノ・ノワールですが、栽培面積はソーヴィニヨン・ブランの1/4以下なので、ニュージーランドにとってこの白ブドウ品種がいかに重要かということが分かります。

また、実は多くの日本人醸造家が現地で活躍していることでも有名なニュージーランド!今回は通称3Kと呼ばれるKUSUDA WINES、KIMURA CELLARS、Koyama Winesを国内の代表的な産地と共に簡単にご紹介します。

※セントラル・オタゴの2022年12月22日時(夏至)の日の出は5:50、日の入りは21:29で15時間半以上の日照時間がありました。

ニュージーランドワインの有名産地

<北島>オークランド/Auckland:主要品種シャルドネ(白)

ニュージーランドの最北端にあるノースランドで約200年前にワイン産業がスタートし、その南に位置するオークランドも歴史的に重要な産地を抱えています。

オークランド西部、ワイヘケ島、マタカナの3つのエリアに分けられ、シャルドネはオークランド西部内のクメウが国内外共に評価を得ています。

ワイナリーによってスタイルの違いはありますが、トロピカルフルーツや柑橘系の爽やかな風味に、バランスの取れた酸味があるシャルドネとして知られています。

<北島>ギズボーン/Gisborne:主要品種シャルドネ(白)

ニュージーランドの最東端に位置するのがギズボーンです。降水量が多い地域ですが、気温が高く、日照時間も長いため、オークランドのシャルドネより熟した果実(トロピカルフルーツ、パイナップル、黄桃)の風味でリッチな味わいを感じられます。

早飲み用(ワインを瓶詰めした後、数か月~数年以内に飲むワイン)で有名ですが、長期熟成に向いた高品質なシャルドネも生産しています。

<北島>ホークス・ベイ/Hawke’s Bay:主要品種メルロー(赤)

国内2位の生産量を誇るホークス・ベイは、ニュージーランドの主要産地の中で最も温暖で日照時間の長い産地です。前述の二産地と同じくシャルドネ(ソーヴィニヨン・ブランもほぼ同等)の栽培面積が最も大きいですが、赤ワイン品種のメルローを含む、いわゆるボルドー系と言われるカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーなどが栽培される重要な産地です。

メルローで特に成功を収めており、主にブレンドで使用されるものの、プラムの濃い果実味に、パワフルさとエレガントさを兼ね備えた長期熟成向けの赤ワインを生産しています。

<北島>ワイララパ/Wairarapa:主要品種ピノ・ノワール(赤)

首都ウェリントンの北東にあるのがワイララパです。マオリ語で「輝く水の土地」という意味があり、産地内には小さなブドウ畑が点在しています。

その中で世界的にも有名なのがマーティンボロー/Martinboroughです。その気候と土壌はフランス・ブルゴーニュ地方(ピノ・ノワールのトップ生産地)によく似ており、マーティンボローも同じくピノ・ノワールで名声を得ました。

そのワインはミディアムからフルボディで、熟した赤い果実やプラムに、スパイスなどの芳香さと味わいを持ち合わせています。

KUSUDA WINE

KUSUDA WINEは、2001年に楠田浩之さんがニュージーランドで初めて日本人醸造家としてマーティンボローに設立したワイナリーです。

「世界最高のピノ・ノワールを目指して」をスローガンに抱える同ワイナリーのピノ・ノワールは、国内を飛び越え海外でも高く評価され、ブルゴーニュの最上ワインにも匹敵するとまで言われました。

<南島> マールボロ/Marlborough:主要品種ソーヴィニヨン・ブラン(白)

マールボロはニュージーランドのワイン畑の2/3を担っている国内最大の産地です。(前述のマーティンボローと名前が似ていますが別の産地です!)

栽培地の8割以上がソーヴィニヨン・ブランで、1980年代当時にその唯一無二のパッションフルーツや若草(ハーベイシャス)の香りに、ビビッドな酸味とミネラル感でニュージーランドワインを世界に広めた立役者です。

マールボロ内でもエリアによってソーヴィニヨン・ブランの雰囲気に若干の差があります。ワイラウ・ヴァレーの一部は日照時間が長く、パッションフルーツのようなトロピカルフルーツの特徴が顕著に現れます。

一方、冷たい海風の影響を受けるアワテレ・ヴァレーはより若草と高い酸味が印象的で、トロピカルフルーツよりもレモンやグレープフルーツなどの柑橘系の爽やかな風味を感じられます。

KIMURA CELLARS

2009年に設立されたKIMURA CELLARSは、日本でホテルに勤務されていた木村ご夫妻がニュージーランドに渡って二人三脚で作り上げたワイナリーです。

オーガニック栽培と日本人ならではの細やかで丁寧なワイン造りをされている同ワイナリーは、ソーヴィニヨン・ブランを筆頭にピノ・ノワールでも数々の賞を受賞しました。

<南島>ネルソン/Nelson:主要品種ソーヴィニヨン・ブラン(白)

マールボロの北西に位置するネルソンは、西のタスマン海からの影響でマールボロより冷涼で降水量が多い産地です。こちらもソーヴィニヨン・ブランが全体の半数以上を占めています。

果実味や若草のニュアンスは控え目ですが、エレガントでミネラル感の豊富な、きりっとした酸味のあるワインを生産しています。

<南島>ノース・カンタベリー/North Canterbury:主要品種ピノ・ノワール(赤)

ノース・カンタベリーは西側のサウザン・アルプスと東側の太平洋の間に広がる産地です。

このエリアは涼しく乾燥していて、日照時間も長く、ブドウはその本来の味わいを蓄えたまま成熟します。そのため、果実味が豊かでふくよかな、複雑性を兼ね備えたワインとなります。

特にピノ・ノワールがノース・カンタベリーの土壌にも最適で、ベリー系の風味がある軽やかなものから、香り豊かで複雑な深みがあるものまで様々なスタイルで生産しています。

Koyama Wines

クライストチャーチから北へ向かったワイパラというエリアにKoyama Winesは位置しています。

醸造家の小山竜宇さんは、ニュージーランドでブドウ栽培とワイン醸造を学びつつ、イタリアやドイツでも研修を重ね、2009年に同ワイナリーを設立しました。この冷涼な気候と土壌にポテンシャルを見出し、ピノ・ノワールと白ワイン品種のリースリングでこだわりのスタイルで良質なワインを生産されています。

<南島>セントラル・オタゴ/Central Otago:主要品種ピノ・ノワール(赤)

前述のノース・カンタベリーの南に隣接し、ワイン産地として世界最南端に位置するのがセントラル・オタゴです。

西側のサウザン・アルプスがくるりと半分ほどこの産地を囲んでワイン畑を雨風から守っています。また、ニュージーランドのほとんどが海洋性気候(降水量が多く、秋が長い)ですが、国内で唯一の半大陸性気候(乾燥していて、昼夜の寒暖差が激しい)の産地です。

セントラル・オタゴのピノ・ノワールもソーヴィニヨン・ブランの発展の経緯と同じく、1990年代になってから他国とは一線を画すその特徴で国際的に知られるようになりました。セントラル・オタゴ内でさらに7つのエリアに分かれていますが、それぞれに気候、土壌、標高の違いがあり、そのワインの特徴も絶妙に異なっています。

一般的に同産地のピノ・ノワールはフルボディで、凝縮した赤系果実とハーブやスパイスの風味に、シルクのような舌触りのタンニンを持っていることで知られています。

ニュージーランドワインでよく見るブドウ品種と味わい

ニュージーランドワイン

冒頭でソーヴィニヨン・ブランとピノ・ノワールがニュージーランドにとって重要なブドウ品種とお伝えしましたが、栽培面積第3位のシャルドネと共にブドウ品種の味わいを簡単にご説明したいと思います。

ソーヴィニヨン・ブラン:ライトボディ~ミディアムボディ

高い酸味と、エルダーフラワーやパッションフルーツ、若草(ハーベイシャス)の風味が特徴的な白ワイン品種。産地によってはもう少し青味がかった香りを感じたり、よりトロピカルフルーツの雰囲気が強いものがあります。

サラダなど野菜を使った前菜やハーブの効いた魚料理、鶏料理にもピッタリです。

シャルドネ:ミディアムボディ~フルボディ

生産者によって樽の利かせ方などに差がありますが、凝縮した柑橘類やトロピカルフルーツの風味に、樽由来のトーストや甘いスパイスのニュアンスがあるしっかりとした白ワイン品種。

暖かい鶏料理や豚料理、特にカツレツなどがお勧めです。

ピノ・ノワール:ミディアムボディ~フルボディ

高い酸味と、ラズベリーやレッドチェリーなどの凝縮した果実味、樽由来のスパイス、ワインが熟成した際に現れるマッシュルームなどの複雑な香り、滑らかで溶け込んだタンニンが印象的な赤ワイン品種。

油の乗ったサーモンや、ラムなどの赤身肉にもよく合います。

こんな人には是非ニュージーランドワインを試して欲しい!

ニュージーランドワイン

ニュージーランドワインを代表するソーヴィニヨン・ブランは何と言ってもその華やかな香りと爽やかな酸味が醍醐味

夏の暑い日に飲んでいただきたいのはもちろん、野菜やハーブが好きな方にはぜひお料理に合わせるワインとして選んでいただきたいと思います。

ちなみに、ニュージーランドはスクリューキャップの先駆者で、そのメリットはワインのフレッシュな香りや味わいを高い密閉性でキープできることです。つまりニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランにはスクリューキャップが必要不可欠なのです。ワインオープナーが不要なところもポイントが高いですよね!

【+wine編集部より】+wineおすすめのニュージーランドワイン

ここで、+wineでおすすめのニュージーランドをご紹介します。

まずは、「ミスティーコーブ エステートソーヴィニヨンブラン」。こちらはまさにニュージーランドのソーヴィニヨンブラン!といった味わいで、パッションフルーツの香りとハーブの香りが美しい1本です。

+wine店長布川の家でも必ずストックしているワインで、カルパッチョやハーブ系の料理はもちろん、フレッシュチーズとも相性抜群です。

続いては「ローソンズドライヒルズ ソーヴィニヨンブラン」。

こちらは受賞歴も多く、国内外からの評価が高い1本です。先ほどご紹介した「ミスティーコーブ エステートソーヴィニヨンブラン」よりエレガントで上品な酸があるのが特徴です。

抜栓後も味わいが美しく変化していくので、2〜3日は美味しく飲めるのもポイント。「ザ・ニュージーランドワインはもう満喫した」という方に是非試していただきたい1本です。

まとめ

世界的に高い評価を得ているニュージーランドワイン。

日本にもファンが多く、ニュージーランドの各産地から有名なワイナリーやニッチなワイナリーまで様々なワインを日本でも見かけるようになってきました。

ニュージーランド国内のソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワールを飲み比べていただくのも楽しいですし、是非フランスなどヨーロッパ諸国の同品種のワインとも飲み比べてその唯一無二さを感じてみてくださいね。