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ロゼワイン全解説。味・産地・人気・オススメまで丸わかり

ロゼの味わいの特徴

ロゼワイン全解説

ロゼワインって結局赤ワインより?白ワインより?

ロゼワイン全解説

美しいピンク色が目を引くロゼワイン。赤ワインでもなく白ワインでもないなら、一体何者なのだろうかと不思議に思いますよね。 実は、ロゼワインはその見た目のとおり、赤ワインと白ワインの中間に位置する存在なのです。

ロゼワインには大きく分けて3通りの造り方があるのですが、普段ショップなどで出会うロゼのうち、ほとんどが赤ワインを造るための黒ブドウを使用しています。そして、そのブドウを白ワインのように仕立てたものか、赤ワインを造る途中で生まれたものが、あの可憐なピンク色のロゼワインとなるのです。

もう少し詳しくお話しいたしますと、基本的に淡い色合いのロゼワインは、赤ワインに用いられる黒ブドウを絞り、透明な果汁にブドウの皮から赤色の色素がほのかに出てきたジュースを発酵して、ワインに仕立てています。

そして濃い色調のものは、黒ブドウを皮や種ごと漬け込んで赤ワインを造る途中で、ワインレッドの色味になる前に果汁を取り出して発酵させることで、濃いピンク色のロゼワインとなるのです。

ちなみにロゼワインはその味わいも、赤ワインと白ワインの中間にあるようなイメージです。白ワインのように軽やかですっきりとしていながらも、赤ワインのようなベリー系の果実の旨味が備わっており、それぞれのいいところ取りをしたようなワインなのです。

何となく選ぶ機会が少ないロゼワイン。ずばりどんな時におすすめなの?

ロゼワイン全解説

赤白どっちつかずで可愛らしい色合いの外見も相まって、どうにも甘そうだしまだまだ発展途上のワインじゃないのか…。そんなイメージがあり、ロゼワインを手に取ることをためらってしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、かつて日本に広く流通していたロゼワインは、その多くが甘口のものでした。しかし、現在ワインショップや飲食店に並んでいるロゼは、辛口のタイプが主流!フルーティーかつすっきりとした爽やかさが魅力のロゼが沢山造られており、またその味わいが様々なシーンや食事に合わせやすいことで、数年前から世界中で大ブームを巻き起こしているのです。

例えば、夏場にさんさんと降り注ぐ太陽の下でキリっと冷やしたロゼワインをいただいたり、中華料理やエスニック料理と合わせてみたり…。他の種類のワインよりも、どんなシーンにも寄り添ってくれるので、「ワインを飲みたいけれど、どれにするか迷う!」という時には、ぜひロゼワインを手に取ってみてください。きっとあなたを満足させてくれますよ。

ロゼワインの有名品種とその味わい

ロゼワイン全解説

冒頭でお話したように、多くのロゼワインは赤ワインに使われる黒ブドウから仕立てられています。

そのため、それぞれの品種で造られる赤ワインと共通する特徴があるのです。

①メルロ

濃く深みのある赤ワインで有名な品種ですが、こちらで仕立てられるロゼワインにも、コクのある果実味が感じられます。また、カベルネ・ソーヴィニヨンなどがブレンドされることもあり、ハーブのような爽やかな香りが加わることで、さらに奥行きのある風味を楽しめます。

②ピノ・ノワール

上品な赤ワインが生み出されるこちらの品種。造られるロゼワインは、きゅっと引き締まった酸味があり、そこに重なるように、口内いっぱいに広がるラズベリーの甘酸っぱいアロマがなんとも魅力的。

色合いが薄くとも、しっかりとしたベリーの風味が備わっています。

③サンジョヴェーゼ

イタリアと言えばこれ!という程広く愛されている赤ワインの品種。長期熟成向きを除くフレッシュなタイプは、程よい酸味で軽快な飲み口が特徴。

こちらがロゼワインになると、その軽快さがさらに顕著に表れて、クリスプな口当たりを生み出します。チェリーのようなアロマが食欲をそそる特に食事と合わせたいロゼワインが数多く造られています。

④グルナッシュ

こちらの品種は、フランスの南の方やスペインでよく栽培されています。フルーティーで渋みが穏やかなキャラクターは、ロゼワインでも健在。

世界中を席巻したロゼワインブームの中心地である、フランスのプロヴァンス地方でもこちらの品種がよく使われています。イチゴのようなチャーミングな果実味と爽やかな酸味が、するすると飲める心地の良いワインに仕立てられています。

ロゼワインの有名産地

ロゼワイン全解説

今や日本も含めた世界中で、多種多様なロゼワインが造られていますが、特にロゼが注目の産地をこちらで3つご紹介いたします!

①フランス

近年のロゼワインブームの中心地となっているプロヴァンスをはじめ、ローヌやロワール地方と併せて三大ロゼワイン産地と呼ばれるほど、フランスにはロゼワインの銘醸地が集結しています。

そしてたくさん造られているだけでなく、国内の消費量が赤ワインに次ぐ第2位となっているほど広く愛されているのです。ちなみに、個人的には偉大な赤ワインの銘醸地であるボルドー地方のロゼワインも、爽やかながら果実味が深くお気に入りです。

②イタリア

こちらも国内の様々な地方で、それぞれの個性が活きたロゼワインが造られています。基本的には北の方では淡い色合いの軽やかかつエレガントな味わいが、南の方では濃い色合いの果実味たっぷりな味わいのタイプが多い印象です。

私は北寄りのトスカーナ地方で造られるロゼを食中酒にいただき、南部のプーリア州などで造られるロゼはワインだけでも十分に楽しめるほどしっかりとした香りがあるので、日常のリラックスタイムに、気軽にふらっと飲むのがお気に入りです。

③スペイン

地中海性気候の恵みをたっぷりと受けた、親しみやすい味わいが魅力のスペイン産ロゼワイン。特に、シャンパーニュ(シャンパン)と同様の製法で造られる、カヴァのロゼがおすすめです。

カヴァは、ハイクオリティかつハイコスパで、人気急上昇中のスペインが誇るスパークリングワイン。きめ細やかな泡と共にふわりと立ち上る、甘酸っぱいベリーの香りが身も心も癒してくれるのです。

初心者でも楽しめるおすすめロゼワイン6選

ロゼワイン全解説

宅飲み/デイリーワイン編

イタリア×サンジョヴェーゼ

日常的に食事とワインをカジュアルに合わせて楽しんでいるイタリアは、お手頃な価格でクオリティの高いワインの宝庫

特にサンジョヴェーゼで仕立てられるロゼワインは、本当に幅広い食事と好相性で、日頃の食卓に欠かせない1本になりますよ。

チリ×カベルネ・ソーヴィニヨン

ハイコスパなワインが数多く生み出されている人気のワイン銘醸地、チリで赤ワインの主力品種として名高いカベルネ・ソーヴィニヨン。

こちらで仕立てられるロゼワインは、サンジョヴェーゼのすっきりとしたロゼよりも果実味豊かで、ワインの色も味わいも濃いめであることが多いです。

特別な日用のワイン編

ボルドー(フランス)×メルロ

香り高く深みのある味わいが特徴の、メルロをメインに使用したボルドー地方のロゼワイン。優雅な香りがふわりと漂い、食卓の料理を格上げしてくれるような気品があります。

シャンパーニュ(フランス)×ピノ・ノワール

スパークリングワインの最高峰に君臨するシャンパーニュ。フランスの北の方に位置するシャンパーニュ地方で、数々の厳しい規定をクリアしたものだけが、このシャンパーニュの名を名乗ることが出来るという、スペシャルなワインです。

その中でも、ロゼのシャンパーニュは特筆すべき逸品とも言えます。美しいサーモンピンクのワインから、花々やベリーの芳香がとめどなく溢れる様は、気高き女王のような佇まい。ややお値段の張る高級ワインですが、特別な日を彩るのに最適な華やかさは、唯一無二の存在です。

ギフト用のワイン編

スペイン×ピノ・ノワール

上記でご紹介したシャンパーニュよりも、ずっと手に届きやすい価格で、時にそのクオリティが並ぶこともあり大きな注目を集めている、スペインのカヴァ。こちらもいくつかのルールが定められており、一定以上の品質の高さが保証されているワインです。

シャンパーニュ同様に、ロゼにはピノ・ノワールが用いられることが多く、華やかな香りを存分に楽しむことが出来ます。

プロヴァンス(フランス)×グルナッシュ

何かと贈り物には、王道は欠かせません。ロゼワインの中で王道と言えば、やはり世界的ブームの中心地であるプロヴァンス地方のものです。比較的色合いが淡く美しい桜色であり、すっきりとした辛口ながらも程よくフルーティー

上品な味わいでとても飲みやすいので、迷った時にはこちらがおすすめですよ。

ロゼワインとお料理のペアリング

ロゼワイン全解説

「ロゼの味わいの特徴」でも少し触れましたが、ロゼワインが大ブームを巻き起こしている大きな理由に、幅広い食事に合わせやすいという「フードフレンドリー」な点が挙げられます。

洋食だけでなく、和食や中華、辛みのあるエスニック料理にも合わせることが出来る、懐の広さが魅力なのです!

基本的には、お料理の色味とロゼワインの色合いの濃さを揃えると素敵なペアリングを楽しめるのですが、こちらでは、料理のジャンルごとにおすすめのロゼタイプをご紹介いたしますね。

アクアパッツァなどの洋風魚介料理

魚介類の旨味やハーブの香りが活きた料理には、程よいコクを備えた軽めのロゼワインがおすすめです。

例えば、フランスのプロヴァンスや、スペインのグルナッシュで造られた淡い色合いのロゼワイン。果実の風味がしっかりとありながら爽やかな飲み口なので、素材の個性を上手く引き立ててくれます。

ローストビーフなどの洋風肉料理

特に牛肉などの力強い味わいの洋食には、色味が濃いタイプのロゼがぴったり。例えば、チリのカベルネ・ソーヴィニヨンや、アルゼンチンのマルベックという品種を用いたロゼワインとの相性は抜群です。

パワフルな果実味と渋みをもつ赤ワインを生み出すブドウで仕立てられるロゼワインにも、そのしっかりとした骨格が表れており、味わいの濃い料理にも負けず、見事に寄り添ってくれます。

和食

和食の繊細なお出汁や素材の旨味は、フランスのボルドー地方で仕立てられる、淡い色味のロゼワインなどがそっと引き立ててくれます。

メルロやカベルネ・ソーヴィニヨンなどがブレンドされていることが多く、調和のとれた上品な香りや酸味がポイント。また、ほのかに香る青々とした香りは薬味にもよく合うのです。

中華

油や豚肉を多く用いる中華料理には、酸味がしっかりとあるキリっとしたロゼワインがおすすめです。特に、私が一番好きな組み合わせは、点心×イタリアのサンジョヴェーゼのロゼワイン。

甘い豚肉の旨味と、ワインのイチゴやチェリーのチャーミングな果実味が上手く調和し、脂身を爽やかな酸味がすっきりと流してくれるのです。一口食べたら一口ワインを飲みたくなり、もう一口食べてワインをまた一口…というループが止まりませんよ。

エスニック料理

スパイスの辛さとハーブの爽やかさのハーモニーが癖になる東南アジア系のエスニック料理は、ロゼのスパークリングワイン、特にスペインのカヴァのロゼがイチオシです。

ベリーの果実味がぎゅっと詰まった味わいと、シャンパーニュ製法ならではの芳ばしさが、スパイスの風味と絶妙に調和し、きゅっと引き締まる酸味とシュワシュワとした泡の口当たりが辛みを和らげつつ、爽やかな後味に導いてくれるのです。

これを知ってると通!ロゼワインの豆知識

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世界的ブームの背景

これまでにも少しお話に出て参りましたが、近年、ロゼワインが世界中で大きなブームを巻き起こしています。このトレンドを牽引しているのが、アメリカのミレニアル世代。子供の頃からソーシャルメディアに慣れ親しんでいることから、多くの情報や考え方に触れることで、従来の凝り固まった常識にとらわれない比較的自由な考え方を持っています。

そんな彼らはなぜ、ロゼワインに注目しているのでしょうか。

①SNSに映える

何と言っても美しい、ロゼワインのピンク色。ワインの持つ堅苦しく格式高いイメージを払拭するような、やわらかく華やかな印象ですよね。このビジュアルは確かに、つい写真に収めてみんなにシェアしたくなります!

②カジュアルに楽しめる気軽さ

見た目だけでなく、ロゼワインはその味わいでも若い世代の心をしっかりと掴んでいます。白ワインと赤ワインの特性を程よく兼ね備え、軽やかな飲み口で親しみやすいキャラクター。

そのため、思うままに好きな食べ物と合わせてみたり、氷を入れてみたりと、気取らず自由に楽しめるところが、受け入れられているようです。

実は歴史の長いワイン!

そんなファッショナブルな存在として注目されているロゼワインですが、なんとその歴史は紀元前にまでさかのぼります。 実はロゼワインブームの中でも特に人気の高い産地、プロヴァンスは、フランスで最初にワイン造りの文化が伝わった土地。当時のワインは色が薄く、ロゼワインのようなものだったと考えられています。きっとその影響で、この地ではロゼワインが盛んなのでしょうね。

このことから、ロゼワインが最近生まれた未熟なワインではないかというイメージは覆り、ちょっと味わい深く感じられるような気がしますね。

ロゼワインを更に美味しく飲むには?

ロゼワイン全解説

ロゼワインのもつ華やかな香りとピュアな味わいを存分に楽しむためには、温度が重要なカギとなります。これはどのようなタイプのワインを飲む時にも言えることなのですが、ワインは温度によって、がらりとその表情を変えるのです。

では、ロゼワインをいただくのに最適な温度はどれくらいでしょうか。

一般的に、白ワインは8-12℃、赤ワインは16-20℃程度が適温ですが、ロゼはちょうどその中間程の、8-16℃が適しています

キリっと冷やすなら、白ワイン同様冷蔵庫で3時間以上冷やし、少し高めの温度でゆったりといただくなら、軽く1時間ほど冷やして10分程常温で置いておく、といった具合です。基本的に、淡い色味のロゼワインは比較的しっかり目に冷やすと、その軽やかさや爽やかさが際立ちます。

一方、濃い色のものは少し高めの温度でいただくと、力強い果実の風味がより鮮明に感じられ、苦みを感じにくいのでおすすめです。

また、グラスは白ワイン用のやや小ぶりのものを使うことがスタンダードではありますが、ロゼの華やかな香りを存分に味わうために、赤ワイン用の大ぶりのグラスでいただくのも、なかなか通な飲み方を楽しめますよ。

まとめ

さて、今回はロゼワインの味わいについて、有名どころの品種や産地、シチュエーションごとのおすすめタイプ、さらに料理との合わせ方や飲み方までをざっとお話して参りましたが、いかがでしょうか。

少し、ロゼワインへのイメージが変わった方もいらっしゃるかもしれませんね。 ロゼは上品で華やかながら、自由に好きなように楽しめる、どこか親しみやすく身近な存在のワイン。ぜひ皆様それぞれの、ロゼワインの楽しみ方を見つけてみてください!

Saeko

日本ソムリエ協会認定ソムリエ。大学で醸造学を学び、家族もお酒好きであったことから酒類に深く興味を持つ。卒業後はワインのインポーターで店舗での販売やオンラインショップの企画制作に携わる。現在はフリーでライターとして活動中。