【初心者用】赤ワインと料理のペアリングのコツ! 品種ごとのおすすめ例は?
早いもので今年ももう12月。街を彩るイルミネーションに心躍る中、がんばった1年のご褒美に美味しいものが食べたくなる季節の到来です!
今年はそんなお食事に赤ワインを添えて、より一層華やかに演出してみてはいかがでしょう。 ちょっとしたコツさえわかれば、いつものお食事が一年のクライマックスを飾るパーティーメニューに変身!
クリスマスや年末年始のイベントに使えるアイデアも満載です。
赤ワインと料理のペアリングのコツ:ペアリングとは?
料理とワインを一緒に味わってこそ生まれる美味しさを「結婚」というフランス語で表現した「マリアージュ」。
「ペアリング」は「マリアージュ」のための“法則”のようなもの。ペアリングがわかれば、料理とワインのマリアージュを実感する事が出来るのです。
「共通点」を探そう!
ペアリングの 法則にはいくつかの種類がありますが、その中でも一番簡単なのは「共通点」を探す事。
まずは「色の共通点」を探してみましょう。例えば、苺やサクランボのようなチャーミングな赤い色が特徴のワインなら、似たような赤い素材の料理と合わせる。
次は「香りの共通点」。ワインの中にさわやかなハーブの香りを見つけたら、料理にハーブを加えたり、スパイシーな香りを見つけたら、スパイスを効かせた料理と合わせてみる。
そして「質感の共通点」。しっかりとした質感と凝縮感のある果実味が印象的なワインなら、しっかりとした味と食感の料理と合わせる。などなど。
他にも、郷土料理とその国のワインを合わせるのもわかりやすい共通点探しです。 以上のように、想像の翼を自由に広げれば、共通点はどんどん広がります。
次の章では、赤ワインの「色」「香り」「味わい」などの特徴を有名ぶどう品種別にピックアップ。ぜひ参考にしていただき、“似た者探し”ペアリングにチャレンジしてみてください!
赤ワインの有名品種と料理のペアリング例
ピノノワールと赤ワインのペアリング:鶏肉とGOOD
「ピノノワール」は世界的に栽培されている葡萄品種ですが、皮が薄いため病気になりやすくデリケート。価格も高騰して「ブルゴーニュの王様」と称されるフランスブルゴーニュ地方の赤ワインは世界中の憧れの的です。
ワインの色合いは、透明感のある、あざやかなルビーレッド。香りは、さくらんぼや苺、フランボワーズなどの小粒な赤い果実を彷彿させるようなチャーミングな香りに薔薇の花のような華やかさを併せ持ち、熟成されると紅茶のようなドライなニュアンス、きのこやスエードのような温かみのある土のような香りも加わります。
味わいはしっかりめの酸味と果実味が特徴で、渋みはひかえめ。その印象は「王様」と言うより、さしずめ「クィーン」。香り高くフェミニンな優雅さが心をつかんで離しません。
ペアリングでおすすめしたいのは、鶏肉などのきめ細かい肉質の肉を使った料理。ローストビーフや生ハムなどの時間をかけて調理した、どこかドライな印象の肉料理もおすすめ。クリスマスは某有名メーカーのフライドチキンにもぴったりですね。
+wineおすすめピノノワール:チャーミングなのにエレガントなピノ
+wineで一押しのピノノワールは、オーストラリア ヤラヴァレーの「リトルイエリング ピノノワール」。
チェリーやイチゴのアロマにスパイシーな香りがするピノノワールで、ふくよかでなめらかな舌触りとともにジューシーなチェリーやザクロが広がり、香ばしいスパイスが複雑さを生み出しています。シルキーで凝縮感ある長い余韻も魅力的で、このクオリティーで3,000円以下ととてもコスパの高い1本です。
カベルネソーヴィニヨンと赤ワインのペアリング:噛みごたえのあるしっかりとしたお肉とGOOD
フランスはボルドー地方を皮切りに、世界中のどこで作っても品質の高いワインが生まれるカベルネソーヴィニヨンは、栽培面積も世界一。名実ともにワインの王道を突き進む堂々とした品格にあふれています。
ワインの色合いは凛とした紫色。「ボルドー色」という紫色がここから生まれたのもうなずける美しさです。香りはカシスやブルーベリーなどの小粒で黒い果実に針葉樹やミントをイメージさせる清涼感が上品さをプラス。
しっかりとした骨格と、甘味、酸味、渋みなどのバランスが取れた味わいを併せ持ち、その多彩なポテンシャルが時を経て世界中の人々を魅了するワインへと変化します。
ペアリングでおすすめなのは、まず肉料理。肉料理と言えばカベルネソーヴィニヨン!と言われるほどの好相性ですが、とりわけおすすめなのは牛肉や子羊など、噛ごたえのある、しっかりとした肉質のもの。シンプルなステーキに赤ワインを煮詰めたソースを合わせたり、ミントやパセリを練りこんだバターを添えたり。一工夫加えるとより一層美味さもアップします。
+wineのおすすめカベルネ・ソーヴィニヨン:カリフォルニアらしいしっかりとしたカベルネ
+wine一押しのカベルネ・ソーヴィニヨンは「ステルマー カベルネ・ソーヴィニヨン」。カリフォルニアの1本です。
ブラックベリーやカシス、チェリーといったよく熟したベリーの果実味に香ばしいバニラのアロマが印象的で、繊細なタンニンが全体をきれいに纏めています。飲みやすさ抜群ですので、ついつい手が伸びてしまう仕上がり。
しっかり目のお肉にはもちろん、照り焼き系のソースとも相性抜群です。
メルロと赤ワインのペアリング:煮込み料理にGOOD
その環境適応力の高さで世界各国で栽培されているメルロ。日本でも美味しいワインが醸され、栽培面積はカベルネソーヴィニヨンに次ぐ第二位を誇っています。
ワインを作る葡萄品種の中でも森林やハーブなどの植物系の香りが少ないことから、カベルネソーヴィニヨンなどの青さや硬さを感じさせるぶどうとブレンドされる事が多く、やわらかさやコクを加えます。そのおだやかで親しみやすい果実味は、赤ワインに慣れてない方にまずおすすめしたいワインです。
ワインの外観はこっくりとしたまろやかな紫色。プラムやブラックチェリーなどの肉厚な果肉を持つ濃い色の果実やシナモンジンジャーなどの甘いスパイスの香り。トリュフや黒オリーブなど黒をイメージさせる香りも感じさせます。 酸味が少なく、まろやかな質感のある飲み心地は、年末の忙しさの中でほっと一息出来るような、やわらかな時間を演出してくれるでしょう。
ペアリングは、ミートソースのパスタなど肉汁が溶け込んだような煮込み料理やトリュフやポルチーニを使ったチーズリゾットなどがおすすめ。これからの季節は、シュトーレンなどのお菓子と合わせるのも素敵です。
+wineおすすめのメルロー:柔らかく濃厚なメルロー
+wineのおすすめは「ブレッド&バター メルロー」。アメリカの大統領ランチミーティングでも提供実績のあるブレッド&バターが造るメルローです。
よく熟したプラムやダークチェリーの甘い香りに加え、樽熟成からくるシナモンやジンジャーといったスパイスがワインを柔らかくも深みのあるものにしてくれています。余韻にはチョコレートやバニラのニュアンスがとても心地よく、1杯でふっと肩の力が抜けるような優しさがありますので、是非。
シラー、シラーズと赤ワインのペアリング:ジビエやすき焼きがGOOD
フランスのローヌ地方とオーストラリアが二大産地で、ローヌ地方では「シラー」、オーストラリアでは「シラーズ」と呼び名を変えます。それぞれの持ち味も若干異なりますが、南フランスの降り注ぐ太陽の下で育ったシラーと、手つかずの自然の中で育まれたシラーズに共通しているのは豊かな果実味。近年たいへん人気が出てきた葡萄品種です。
ワインの外観は濃くあざやかな紫色。カシスや黒スグリ、プルーンなどの色の濃い果実やバニラや黒こしょうなどの野性的なスパイスの香り。そこにすみれの花のようなエレガントさも加わります。
味わいは豊富な酸とコクのある果実味が特徴で、野性味とエレガントさを兼ね備えた存在感あふれる華やかな個性派と言えるでしょう。
ペアリングでおすすめなのは、まずジビエ。大自然の中でたくましく育ったワインと野性動物の組み合わせです。ジビエが手に入ったクリスマスは、しっかりとグリルした野性的な味わいにクレーム・ド・カシスなどのリキュールを加えたソースでからめ、ちょっと特別な夜を。
バニラやスパイスの香りを活かして、甘辛く煮込んだすき焼きもおすすめです。
赤ワインと料理のペアリングの注意点
ここでは、ちまたでよく聞く“赤ワインのウワサ”に沿って、赤ワインと料理のペアリングの注意点をいくつかご紹介したいと思います。
魚料理に赤ワインは合わないの?
前章で赤ワインの有名ブドウ品種と料理のペアリングについてお話ししたように、おすすめの料理は自然と肉料理が多くなってしまいます。
「肉料理には赤ワイン。魚料理には白ワイン」という昔から広がるこのセオリーはあながち間違いではなく、赤ワインの「タンニン」と呼ばれる渋味成分が肉料理の脂分をすっきりと洗い流してくれるという科学的な裏付けや、そのタンニンに含まれるポリフェノールの健康効果などはもはや定説となっています。
でも、魚にも赤ワインとの共通点はあるんです!
おすすめのペアリングのひとつは、まぐろのスペアリブとピノノワール。まぐろとピノノワールは、ちょうど同じくらいの濃さのあざやかな赤い色をしています。そして、まぐろを漬け込むタレに使われる醤油はワインと同じ発酵食品。醤油のフレーバーや旨味はピノノワールのほどよいタンニンと、どこかドライな旨味にもマッチします。
漬けダレに加えられた生姜やニンニクなどのスパイシーな味わいに共通点を探すとしたら、シラーもおすすめ。山椒の香りが華やかなうなぎの蒲焼とシラーのペアリングも絶品ですよ。
さっぱりとした料理に赤ワインは合わないの?
タンニンが料理の脂分を洗い流す赤ワインですが、もともと脂分を持たないさっぱりとしたお料理には合わないのでしょうか?
野菜サラダを例に、ここでも共通点を探してみましょう。
新鮮な野菜にゴマの風味を持つルッコラとスライスしたマッシュルーム、砕いたくるみを加え、味わいに土っぽさやドライな風味をプラスします。そこに真っ赤な苺のドレッシングをたっぷりと。ワインはピノノワール。見た目と香り、味わいにも共通点を見つけたみずみずしいペアリングです。
魚卵は赤ワインには合わないの?
いくらや数の子などの魚卵と赤ワインの組み合わせは生臭くていただけない!これは皆さんが口をそろえる赤ワインのタブーですが、この組み合わせは、赤ワインに含まれる酸化防止剤の亜硫酸塩が魚卵の生臭さを増長させてしまうのが原因。これは致命傷かと思いきや、今やたくさんのワイン生産者が酸化防止剤をなるべく使わないオーガニックなワインに力を入れていますので、自然派のワインを探すと相性の良い一本に出会えるかもしれません。
魚卵にはしっかりとしたタンニンは重過ぎるので、ミディアムボディ程度のワインがおすすめです。
赤ワインとおつまみのペアリングはどうする?お正月編
お正月はお節料理をつまみながら赤ワインでのんびりと 一年のスタートを飾る晴れのイベント「お正月」のお供と言えば、お節料理。
伊達巻や黒豆、「田作り」と呼ばれる小魚や数の子など、バラエティーに富んだお味が一つの箱に所狭しと並ぶ、お祝いにふさわしいにぎやかなお料理です。このおせち料理をつまみながら、ゆっくりとお酒を飲むのがお正月の楽しみのひとつ!という事で、前の章で醤油や魚卵と赤ワインのペアリングのコツもお話しした事ですし、来年のお正月はお節料理をおつまみに、赤ワインとのペアリングにぜひチャレンジしてみてください!
一品一品に願いを込めて、ひとつひとつの素材に手間暇かけたお節料理は、どちらかと言うと淡泊な味付けで肉よりも魚が中心。野菜もふんだんに使われていますので、赤ワインとのペアリングでは、今までお話した共通点探しに加えて、下記のようなポイントをプラスすると上手くいきます。
ポイント①お節料理はしっかりとお出汁を取って旨味を引き出す
筑前煮や旬の根菜の煮物など、素材の良さをそのまま活かしたお料理には、しっかりとお出汁を取って味わいに奥行きを。前章でお話した醤油と赤ワインのペアリングにチャレンジしてみてください!
ポイント②焼き豚やローストビーフなどの肉料理も加えてみる。
こんがりと焼いた海老や田作りなどの魚料理に加えて、肉料理もラインナップ。焼き豚やローストビーフなど、こんがりと焼いた肉料理の方が全体のバランスにマッチします。
ポイント③ワインはバランスの取れたおだやかなものを選ぶ
いろいろな食材を楽しめるバラエティーに富んだお節料理には、味わいのバランスが取れた、おだやかな赤ワインをチョイスしましょう。
例えば、若々しい果実味を前面に押し出したものよりも、ある程度熟成されたものを。しっかりと個性を主張するフルボディよりも、どんな料理にも寄り添いやすいミディアムボディを。
一年に一度の特別な日ですから、出番を待っていたヴィンテージワインの登場!なんて贅沢もアリですね。
まとめ:ペアリングでは美味しい!と感じるものを見つけよう
いかがでしたでしょうか?赤ワインと料理のペアリングのコツについて、いろいろとお話させていただきましたが、一番のコツは美味しい!と感じるものを見つけること。
それが、世界各国、老若男女すべての共通点なのかもしれません。
どうぞ、美味しい赤ワインとお料理といっしょに、楽しい年末年始をお過ごしください。